4. 年金以外に頼らない老後生活を!老後資産の準備をしよう
年金は毎年改定されており、2024年度の年金額は前年度より2.7%の増加がありましたが、物価上昇には追い付いておらず、実質的には金額が目減りしている状況です。
また、「国民年金のみを受給するか」「国民年金と厚生年金の両方を受け取るか」によって、老後の年金額は大きく変わります。
とはいえ、前章で紹介した平均的な年金額や主要な受給額を見ると、公的年金だけで生活するのは不安に感じる人が多いでしょう。
そのため、年金以外の準備として以下のような対策を考えることが重要です。
- 対策1:年金に加えて十分な貯蓄を確保する
- 対策2:不測の事態に備えた保険に加入する
- 対策3:長期間働き続けるための健康やスキルの維持
さらに、長寿を迎える時代においては「資産の寿命」を延ばすために、資産運用を考慮し、財産を育てることも重要なポイントとなるでしょう。
5. FPからのアドバイス
ここまで50歳代の貯蓄額や、シニア世代の年金事情について見ていきました。
公的年金の支給額が、老後の生活費と比較して足りないと感じた方も多いでしょう。
年金の受給額を増やすには、受給開始時期を繰り下げるという方法があり、65歳以降も現役世代並みに働けるという方は取り入れてみてもいいでしょう。
ただし、年齢が上がるにつれ病気のリスクが高まるため、働けなくなってしまう事も念頭に置き、準備していきましょう。
その準備方法ですが、現時点で貯金が十分にあるという方以外は、「保険」も検討してみてはいかがでしょうか。
医療費の自己負担費用を補填してくれる医療保険はもちろん、働けなくなってしまった時に減少する収入を補填するような就業不能保険も持っておくと安心です。
ただし、いろいろと入りすぎて毎月の保険料が高くなってしまうと、貯蓄に回すお金が減ってしまうため注意が必要です。
また、保険料を抑えるために必要な保障を持てていない場合は、万一の時に家計を苦しめてしまいます。重要なのは過不足なく、保障を準備することです。
公的保障もありますので、そこから足が出る部分について、どのくらいの金額を備えたらいいのかを確認し、保険の見直しや加入を検討していきましょう。
参考資料
- 総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)11月分(2024年12月20日公表)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 日本年金機構「令和6年度「ねんきん定期便」(ハガキ)の見方(50歳以上の方)」
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 2.7%の引上げです~」
宗形 佑香里