4. 退職に向けて現役世代ができること

公務員の退職金について確認してきましたが、次に現役世代が退職に向けてできることを考えてみましょう。

東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」によると、退職一時金制度を導入している企業は149社中87社、退職年金制度があるのは、161社中95社にとどまっています。

全産業の退職金の平均支給額が1872万9000円であることを考えると、公務員の退職金は確かに優れていると言えます。

しかし、これはあくまでも平均値であり、実際の金額は個々の状況によって異なります。

まずは所属する職場の退職金制度を確認し、その見込額を把握することが重要でしょう。

4.1 引退して老後を楽しむために

住宅ローンや教育費が一段落ついた50歳代以降に貯蓄ペースを上げ、「老後の資金」の準備をする家庭が多いようです。

早めに老後資金の計画を立て、毎月の貯蓄額を設定することで、安心して老後を迎えることができます。

また、現在は企業の体力が落ちているところも多く、退職金制度も確定給付年金から確定拠出年金に切り替わる企業が増えています。

確定拠出年金は、自分で運用方法を選択する必要があるため、投資の知識を身につけることが大切です。

つまり、年金開始時期に引退して老後を楽しむには、そのための準備が必要と言えるでしょう。

例えば健康管理や趣味の充実、社会とのつながりを維持することが、豊かな老後生活につながります。

退職後の生活を見据えて、早めにライフプランを立てることをおすすめします。

5. 退職金の有効活用

退職金が入ると「どう運用したらいいのかな?」と悩む方も多いはずです。

資産運用といえば、NISAやiDeCoが思い浮かぶ方も多いですよね。税制優遇が魅力ですが、元本割れリスクがあるので慎重に考えたいところです。

NISAやiDeCoのような投資信託を使った積立投資は、リスクを分散しつつ長期でじっくり増やす運用に向いています。

さらにリスク分散を図るなら「債券運用」も選択肢です。

債券は、国や企業にお金を貸して利息を受け取り、満期には元本が戻る仕組み。比較的リスクが低めなのがポイントです。

退職金をそのまま預金しておくと、インフレで価値が下がる可能性もありえます。

大切なお金だからこそ、自分のリスク許容度に合った方法で運用を検討してみてくださいね。