2.4 老齢年金生活者支援給付金の平均給付月額
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、実際に支給された老齢年金生活者支援給付金の平均給付月額は以下のとおりです。
- 全体:3930円
- 70歳未満:4528円
- 70~74歳:4057円
- 75~79歳:3815円
- 80~84歳:3778円
- 85~89歳:3816円
- 90歳以上:3902円
基準額よりも少ないケースも多いことがわかりますね。
10月から新たに老齢年金生活者支援給付金の対象となる方には、9月から順次「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送付されています。
請求書を記入して提出した方の中には、すでに年金生活者支援給付金を受け取っている方も多いかもしれません。
まだ返送していない場合でも手続きは可能なので、早めに申請するようにしましょう。
3. 長生きの時代に備えて
ここまで、年金の受給額や「年金生活支援給付金」について見てきました。
厚生年金の受給額については、月に15万円以上受け取る人の割合は50%を下回っており、現役時代と同じ生活水準を維持するのは難しいと考えられます。さらに、「年金生活支援給付金」の支給額は最大でも年間約6万円、月に換算すると約5000円程度です。これだけでは十分な支援とは言い難いでしょう。
加えて、今後も高齢化が進むことで年金保険料を負担する若い世代の人数は減少していきます。そのため、現在の制度が同じ水準で維持されるかどうかは不透明な状況です。
老後の生活費を年金だけで賄うのが難しい場合は、自ら資産を準備する必要があります。国もNISAやiDeCoといった税制優遇のある制度を整備しており、これらを活用する動きが広がっています。投資にはリスクはありますが、リターンを期待できる仕組みであるため、多くの人が利用を検討しています。
準備方法によって取るべきリスクの種類や程度も異なりますので、自分に合った手段をしっかりと調べることが大切です。特に、老後資金は「教育資金」や「住宅資金」と並ぶ人生の3大資金の一つですが、他の資金と異なり借入れが難しい性質を持っています。そのため、計画的な準備がより重要になります。
長寿化が進む現代では、これまで以上に老後資金の重要性が増しています。お金の不安を抱えない老後を実現するためにも、早めの対策を始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
- 内閣府「令和6年版高齢社会白書(高齢化の状況)」
徳原 龍裕