3. 最低賃金アップでパート主婦は悲鳴?高い「年収の壁」問題
先述の通り、過去最大の引き上げ幅となった2024年度の最低賃金。これを受けて10月以降、多くの職場で賃金引上げが期待されているでしょう。
誰にとっても喜ばしいことに思えますが、一部のパート主婦からは悲鳴の声も上がっているのです。いわゆる「年収の壁」との兼ね合いを気にする必要があるケースです。
扶養内パートで働く人には「月収(年収)いくらまでなら扶養内」という上限額があります。それを超えた場合、自身や配偶者の税金・社会保険料に影響するため、手取り額が逆転してしまうことがあるのです。
そのため、既に調整していた労働時間や労働日数を再調整する、いわゆる”働き控え”が必要となるケースも起こり得ます。
3.1 10月からは社会保険の適用要件の拡大により「106万円の壁」に悩む主婦が増加
従来は年収を130万円以下に抑えれば、配偶者の社会保険の扶養に入ることが可能でした。
この「130万円の壁」を越えてしまうと、パート先の社会保険に加入する必要が発生します。すると、毎月の給与から社会保険料が天引きされ、結果的に手取り額が減ります。
ところが、一定の要件に当てはまる一部の企業では「130万円」ではなく「106万円」を超えると社会保険への加入義務が生じます。2022年10月以降、適用範囲の拡大が進んでおり、2024年10月からは従業員数51人以上の勤め先が対象になりました。
対象となる勤め先
勤め先が適用対象となった場合、下記要件をすべて満たした際に、社会保険の加入対象者となります。
- 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
- 所定内賃金が月額8万000円以上
- 2カ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
事業所の規模によっては「106万円」の壁を気にする必要が出る人が増えるでしょう。最低賃金が上がることで、社会保険以外にも存在する各種「年収の壁」に到達する可能性も。そこで働き控えを余儀なくされる人も出てくるのです。