皆さんは富裕層と聞くとどのような方を思い浮かべますか。
羽振りがよくお金を使うのを惜しまないような人をイメージする方が多いかもしれません。
富裕層は一般的には「金融資産1億円以上」保有している人を指します。
筆者は証券会社、生命保険会社、FPと金融業界で働いてきました。そのことから富裕層の方とお話をする機会が非常に多かったです。
実際に富裕層の方とお話をする中で富裕層には共通点があることがわかりました。
そこで今回は、富裕層に共通する3つのポイントを共有していきます。
昨今は物価の上昇などで家計が圧迫されていて老後生活が不安という方も少なくないと思われます。
富裕層の考え方を参考にすることで老後資金を準備するためのヒントにしていただければ幸いです。
1. 【富裕層】億超え資産家は、日本に何世帯いるのか?
野村総合研究所(NRI)のニュースリリース(※1)では、日本の全世帯を純金融資産(※2)の保有額別に「マス層」から「超富裕層」の5つの層に区分しています。
そのうち純金融資産1億円以上5億円未満の世帯を「富裕層」、5億円以上の世帯を「超富裕層」と定義し、世帯数や資産規模に関するデータを公表。推移やその背景についても考察しています。
次で詳しく見ていきましょう。
※1:「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」2023年3月1日公表
※2:純金融資産保有額:預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いたもの
1.1 【一覧表】超富裕層~マス層「世帯数と保有資産規模」を見る
- 超富裕層(5億円以上):9万世帯/105兆円
- 富裕層(1億円以上5億円未満):139万5000世帯/259兆円
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満):325万4000世帯/258兆円
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):726万3000世帯/332兆円
- マス層(3000万円未満):4213万2000世帯/678兆円
同調査によると、2021年時点の「富裕層・超富裕層」は全世帯(5413万4000世帯)のわずか2.7%、約148万5000世帯です。
その一方で、この2つの層が保有する資産の合計は推計364兆円。全世帯の保有資産合計(1632兆円)の22.3%が、上位2.7%の「トップ層」世帯に集中していることになります。
次では「富裕層・超富裕層」の世帯数・資産規模の推移についても見ていきましょう。
1.2 「富裕層・超富裕層」は、世帯数・資産規模ともに右肩上がり
2013年から2021年にかけて「富裕層」と「超富裕層」の保有資産額や世帯数は、以下のように推移しています。
- 2013年:95.3兆円・100.7世帯
- 2015年:272兆円・121.7世帯
- 2017年:299兆円・126.7世帯
- 2019年:333兆円・132.7世帯
- 2021年:364兆円・148.5世帯
安倍政権の経済政策「アベノミクス」の始動時期にあたる2013年以降、「富裕層と超富裕層」の保有資産額および世帯数は右肩上がりで増えています。
次ではこの背景について考えていきます。