公的年金は偶数月に2か月分が合わせて支給され、次回の年金支給日は12月13日です。

2024年度のモデル年金額例によると、標準夫婦では年金支給日に「約46万円」が支給されます。

年金の制度は非常にわかりにくい部分もあり、実際、筆者は個人向け資産運用のサポート業務に従事していますが、年金についてあまりよくわからないので教えてほしいという相談も多く受けます。

そこで今回は、「標準的な夫婦世帯が年金支給日に約46万円を受給する」というケースをもとに年金のしくみや実態について解説していきたいと思います。

併せてシニア世代の年金平均受給月額も紹介しますので、参考にご覧ください。

1. 日本の公的年金制度「厚生年金と国民年金」とは

【写真全4枚中1枚目】日本の年金制度のしくみ。2枚目では、2024年度の年金額例をチェック

日本の年金制度のしくみ

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

「年金制度は2階建て」などとしばしば言われます。これは、1階部分に当たる「国民年金(基礎年金)」と、2階部分に当たる「厚生年金」から成り立つためです。

ふたつの年金制度の概要を整理しておきましょう。

1.1 国民年金(1階部分)は誰が加入対象?

年金のベース部分となる「国民年金(基礎年金)」の加入対象は、原則「日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員」です。職業や国籍は問いません。

年金保険料は全員一律(※1)で、物価や現役世代の賃金を考慮して年度ごとに見直しがおこなわれます。

老後の年金額は、保険料の納付月数に応じて決まるしくみです。40年間(480カ月)の全期間、未納なく保険料を納付している場合は、国民年金(老齢基礎年金)の満額(※2)が受給できます。

※2024年度の年額

※1 国民年金保険料:1万6980円
※2 国民年金の満額:6万8000円

1.2 厚生年金(2階部分)は誰が加入対象?

2階部分に当たる「厚生年金」は、公務員や会社員、一定の要件を満たすパート・アルバイトの人などが、国民年金に上乗せする形で加入します。

報酬(給与・賞与)に応じ決められた年金保険料を、勤務先と折半して給与天引きで納めます。老後の年金額は納付済保険料により決まるしくみです。つまり、年金加入月数とその期間の報酬が将来の年金額に直結します。

基本的には「多く稼ぎ(上限あり)、長く働いた人ほど、老後の年金は多くなる」ことから、実際の受給額には個人差が生じやすいのも、厚生年金の特徴の一つです。

1.3 現役時代の働き方や過ごし方の違いで起こる「老後の年金格差」

現役時代の年金加入状況により、老後の年金水準は変わります。

「国民年金だけに加入していた場合」、受給要件を満たした場合に受け取れるのは1階部分の国民年金のみ。

一方、「厚生年金の加入期間がある場合」は2階部分の厚生年金との併給となるので、国民年金のみを受け取る場合よりも年金水準は手厚くなるのが一般的です。

さらに、同じ厚生年金受給権者どうしでも、現役時代の収入や勤続年数などによって、実際に受け取る年金額には大きな個人差が出ます。ご自身の年金見込み額は「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で把握しておきましょう。

次では、2024年度における国民年金・厚生年金それぞれの年金額例を確認します。