日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」によると、1年後の物価予想について今よりも「かなり上がる」「少し上がる」と答えた人の割合は、85%を超えた結果となりました。
今後も物価上昇の流れは継続していくと予想している方が多いようです。
将来、物価が今のペースで上がり続けた場合、老後の生活にも影響が及ぶ可能性が高いでしょう。老後の大切な収入源である公的年金だけで、物価上昇に対応できるか不安を感じる人もいるかもしれません。
そこで今回は、70歳代の現役シニア世帯の貯蓄額や年金受給額について各種データをもとに深堀りしていきます。
老後資金の計画を立てる際の参考にしてみてください。
1. 【70歳代】二人以上(夫婦)世帯の平均貯蓄額は?
一般的に公的年金は、老後の収入の柱です。基本的な生活費をカバーするための重要な収入源となっています。
しかし、昨今話題となる「老後2000万円問題」が示すように、年金だけでは安心した老後生活を送ることが難しいかもしれません。
そのため、現役世代からの「貯蓄」が重要な役割を果たします。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1757万円でした。
より実態に近い貯蓄額とされる中央値は700万円でした。
※「金融資産を保有していない世帯」を含めたデータです。
※上記、金融資産には預貯金以外の株式や投資信託、債券などの金融商品残高が含まれます。
1.1 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値
- 平均:1757万円
- 中央値:700万円
1.2 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額】貯蓄額ごとの世帯割合
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
金融資産を持たない、つまり貯蓄が全くない70歳台世帯は、全体の約2割を占めています。
最近の経済状況や物価上昇も影響して生活費の負担が増加する中、このような世帯では毎月の生活費をカバーするには、安定した収入が必要となります。
では、実際に老後には、毎月年金をどのくらい受給できるのでしょうか。
次章で、シニア世代の公的年金の受給額について、確認していきましょう。