厚生労働省が国民年金保険料の納付期間を現行の60歳から65歳に延長する案を本格的に議論しています。
審議会では多くの委員が賛成意見を述べており、議論は加速しているようです。そんな中で、老後の年金受取額に不安を抱える人も少なくありません。政府は「貯蓄から投資へ」という考え方を推進し、自助努力による資産形成を促しています。
特に、人生100年時代と言われる今、老後の資産づくりはますます重要性を増しています。現役世代のうちから早めに対策を講じることが求められますが、現代シニアはどれくらい貯蓄で備えられているのでしょうか。
今回は、70歳代の夫婦世帯の貯蓄額と国民年金・厚生年金の平均月額をみていきます。
1. 70歳代・二人以上世帯「貯蓄3000万円以上保有」する世帯はどのくらい?
老後の資金については多くの方が心配されている問題であり、「70歳を過ぎて3000万円あったら安心だろう」と考える方もいるかもしれません。
しかし、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(令和5年)によると、70歳代・二人以上世帯で貯蓄が3000万円以上あるのは、全体の19.7%に過ぎないことがわかりました。※「金融資産を保有していない世帯」を含めたデータです。
1.1 【70歳代・二人以上世帯】貯蓄3000万円の割合をチェック
- 19.7%
1.2 【70歳代・二人以上世帯】貯蓄平均と中央値をチェック
- 平均:1757万円
- 中央値:700万円
つまり、約5世帯に1世帯だけが3000万円を貯めていることになります。
なお、貯蓄ゼロの世帯も含めた平均貯蓄額は1757万円であり、中央値にいたっては700万円にとどまっています。
上記から、3000万円という額は、かなり高いハードルだと言えるでしょう。
次に、シニア世帯の老後を支える公的年金「厚生年金と国民年金」の平均月額も確認していきましょう。