生活保護の被保護者数は2024年7月時点で201万3327人おり、前年同月と比べて7365人の約0.4%減少したと厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和6年7月分概数)」に記載されています。

一方、申請件数は2万5235件で前年同月と比較すると、2608件増えていることが確認できます。昨今の物価高騰などの影響によって、さらに重要性が高くなっている社会保障制度が生活保護です。

今回は生活保護制度の冬季加算について解説していきます。特に寒さの厳しい地域に住んでいる方はぜひチェックしてみてください。

1. 生活保護の冬季加算とは?

冬季加算とは、生活保護を受けている世帯に対して冬季期間に支給される加算金のことです。通常の生活保護に上乗せして支給されるため、生活費の負担を軽減できます。

なお、支給期間や支給金額は地域によって異なります。寒冷度合いの区分が都道府県ごとに定められており、その区分で加算される金額などが決定される仕組みです。

基本的には寒さの厳しい地域ほど、加算金が高くなる傾向にあります。

1.1 冬季加算が支給される目的

冬季加算の目的は、寒さの厳しい地域に居住している生活保護受給者の経済的負担を補填することです。具体的には以下のような経費をサポートする目的で支給されています。

  • 電気代
  • ガス代
  • 灯油代

なお、前提として光熱費といった冬季に需要が増加する経費に対して支給されているものの、使用用途が制限されているわけではありません。そのため、上乗せされて支給された加算金についても自身の判断で使い道を決められます。

1.2 冬季加算地域区分について

次章に進む前に、冬季加算地域区分について確認しておきましょう。冬季加算地域区分は1区から6区までの6つに分けられており、それぞれの区分ごとに支給金額や支給期間などが異なります。

【写真全5枚/1枚目】冬季加算地域区分の一覧表。2枚目は冬季加算の支給期間と加算額を一覧表で紹介。1/5

冬季加算地域区分の一覧表

出所:厚生労働省「冬季加算について」

  • 1区:北海道、青森県、秋田県
  • 2区:岩手県、山形県、新潟県
  • 3区:宮城県、福島県、富山県、長野県
  • 4区:石川県、福井県
  • 5区:栃木県、群馬県、山梨県、岐阜県、鳥取県、島根県
  • 6区:その他の都道府県

※資料ではローマ数字表記となっています。

2. 生活保護の冬季加算はいつから支給されるの?

生活保護の冬季加算は、区分によって支給される時期が異なります。基本的には、10月・11月から支給がスタートします。

2.1 冬季加算の支給期間

冬季加算の支給期間と加算額一覧表2/5

冬季加算の支給期間と加算額一覧表

出所:厚生労働省「2020(令和2)年4月1日施行 生活保護実施要領等」

  • 1区:10月から4月まで
  • 2区:10月から4月まで
  • 3区:11月から4月まで
  • 4区:11月から4月まで
  • 5区:11月から3月まで
  • 6区:11月から3月まで

冬季加算の支給期間は上記の通りです。1と2区に限っては10月から4月までの7ヶ月間で冬季加算が支給されます。

一方で、5区と6区は11月から3月までと比較的短い期間に設定されています。

3. 冬季加算でもらえる金額はいくら?冬季加算の金額が決定される要素

次に冬季加算でもらえる金額について紹介していきます。まずは加算額が決定される要素について確認していきましょう。

生活保護の冬季加算は、主に以下の要素によって金額が決まります。

  1. 冬季加算地域区分
  2. 世帯構成人数
  3. 級地区分

3.1 冬季加算地域区分

冬季加算地域区分一覧表1/5

冬季加算地域区分一覧表

出所:厚生労働省「冬季加算について」

  • 1区:北海道、青森県、秋田県
  • 2区:岩手県、山形県、新潟県
  • 3区:宮城県、福島県、富山県、長野県
  • 4区:石川県、福井県
  • 5区:栃木県、群馬県、山梨県、岐阜県、鳥取県、島根県
  • 6区:その他の都道府県

冬季加算金は、冬季加算地域区分によって異なります。前述した通り、1区から6区までの6つに分けられているのがポイントです。具体的な金額については次章で詳しく解説します。

3.2 世帯構成人数

世帯構成人数も冬季加算の金額が決定される要素のひとつです。世帯構成人数が増えるほど、光熱費などの経費も増加することが予想されます。

そのため、世帯構成人数が1人増えるごとに冬季加算金も比例して増加するのが特徴です。同じ世帯構成人数でも、冬季加算地域区分によって金額が異なる可能性がある点は留意しておきましょう。

3.3 級地区分

級地区分によっても冬季加算金は異なります。生活保護における級地区分とは、生活様式や物価差などを踏まえ、保護基準に地域差を設けていることです。

例えば、都市部は家賃や物価などが比較的高い傾向にありますが、地方では都市部と比較して低いケースがあります。地域間の物価差などを考慮せずに一律の金額を支給してしまうと、最低限の生活を送れないリスクが生じます。

地域間での生活を公平なものにするために必要なのが級地区分です。

3.4 冬季加算される具体的な金額

次に冬季加算の具体的な金額について解説していきます。前述したように冬季加算地域区分・世帯構成人数・級地区分といった要素で金額が決定されるため、一概に具体的な金額を提示するのは困難です。

そのため、今回は特定の地域や世帯構成人数などを例に挙げて紹介します。以下は2級地ー1の基準額と加算額です。

【2級地ー1の場合】

生活保護法による保護の基準額及び加算額5/5

生活保護法による保護の基準額及び加算額

出所:厚生労働省「生活保護法による保護の基準」

【栃木県宇都宮市に居住している1人暮らしの場合】

栃木県の冬季加算地域区分:5区
宇都宮市の級地:2級地ー1
冬季加算額:4630円
加算される期間:11月から3月まで

級地区分は市区町村ごとに異なる可能性があるため、居住している自治体に確認してみてください。

4. まとめにかえて

生活保護の冬季加算は、文化的な最低限の生活を送るために不可欠な支援金です。特にⅠ区といった寒さの厳しい地域に居住している場合は、冬季に経費が増加する傾向にあるほか、健康維持に悪影響を及ぼす可能性もあります。

生活保護を申請している方や初めて冬季加算を受給する方は、自身が居住している地域でいくら加算されるのかしっかりと把握しておくのが大切です。用途は制限されていませんが、加算金を受け取った場合は計画的に使用しましょう。

参考資料

湯田 浩平