2.3 【一覧で確認】「老齢年金生活者支援給付金」の平均給付月額
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、実際に支給された老齢年金生活者支援給付金の平均給付月額は以下のとおりです。
- 全体:3930円
- 70歳未満:4528円
- 70~74歳:4057円
- 75~79歳:3815円
- 80~84歳:3778円
- 85~89歳:3816円
- 90歳以上:3902円
上記の結果から、基準額である「5310円」に満たないケースが多いと推測されます。
新たに給付金の対象となる方には、9月から順次「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送付されています。
まだ申請をしていない方は、忘れずに申請手続きを行い、給付金を受け取れるようにしましょう。
3. FPからのアドバイス
ここまで、実際の厚生年金の受給実態や平均値、年金生活者支援給付金の仕組みについてみてきました。ご自身のイメージと比べていかがだったでしょうか。
もし思っていたよりも「老後は厳しそうだな」と感じられたのであれば、何かしら将来に向けてアクションを起こした方がいいかもしれません。
今後少子高齢化がさらに進んでいくことで、公的年金制度も社会保障制度も破綻はしないまでも、現状維持をしていくことが難しくなる可能性もあります。
「公助」に限界がある以上、将来に向けた「自助努力」をしていくことが今後重要になります。
人生100年時代と言われ長生きリスクという言葉も生まれる中で、どうしていけばいいのでしょうか。答えはシンプルで、支出が収入や金融資産を越えなければ困ることはありません。
そのためには、今回の記事も参考に、まず自分が将来いくらの年金を受け取れるか確認しましょう。今は年金定期便や公的年金シミュレーターなどで確認しやすくなりました。
その上で不足があるならば、大まかな対策は以下の3つになります。
- 現役中に老後の蓄えをしておく
- できるだけ長く働き続ける
- 公的年金の受給開始を遅らせる
1については、今できることを始めましょう。適切な家計管理と適度な節約をしながら、銀行預金を着実に増やしていくのも良いでしょう。
自分だけで頑張るのは限界がありますから、今なら資産運用をして「お金に働いてもらう」というのも一つの選択肢です。NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などの制度も拡充され、資産運用も身近な存在になってきました。
2については、最近では生きがいや健康づくりのために働き続けるという人も増えているようです。程よく社会との関わりも持ちながら、収入も得られます。もちろん生活のためだけに働くという人もいるでしょう。
ただこれは、健康であることが大前提になります。健康でないと働くこともできません。健康リスクに備えるのであれば、保険などもうまく活用してリスク分散していきましょう。
3については、通常65歳から年金受給を開始するのが一般的ですが、受給開始年齢を遅らせると受給額が増える仕組みがあります。例えば70歳から受取開始にすると、受給額が42%増えます。
生きている間、ずっと42%増しで受け取れますので、長生きリスクにはかなり強い味方となります。
一方で、何歳まで生きられるかは誰にもわからないため、人により状況が分かれるでしょう。また、上記のケースの場合70歳までは年金収入がないため、働くかその間の支出が賄える程度のお金を蓄えておく必要が出てきます。
お金も健康も、現役時代からの「日々の積み重ね」が大事になります。
また、お金に限らずですが、行動を変えることで結果が変わります。
この記事をきっかけに、何かしらの行動を始めてもらえたのなら、うれしく思います。