4. 老後を年金だけに頼るのは心もとない…。老後資産の準備をしよう
年金は毎年度改定がされており、2024年度の年金は前年度より2.7%引き上げられています。
しかし、昨今の物価の上昇には追い付いておらず、実質目減りとなっているのが現状です。
また、「国民年金のみを受け取るか」、「国民年金と厚生年金を受給できるか」で、老後の年金水準は大きく変わります。
とはいえ前章で紹介した平均的な年金月額やボリュームゾーンをみると、公的年金だけに頼るのは、心もとないと考える人が多数派でしょう。
「老後は年金だけでは不安」と感じる方は、下記のような備えをしておくことが大切です。
- 年金生活を支える貯蓄をしっかり増やす
- 万が一の事態をカバーできる保険に加入しておく
- 老後も長く働き続けるための体力やスキルを養っておく
また、長生き時代は「資産の寿命」を延ばす努力も求められているため、資産運用でお金を育てる発想も視野に入れておけると良いでしょう。
5. FPからのアドバイス
現役最後の10年間は、貯蓄や年金に対する計画を見直し、老後生活を安定させる最後の期間とも言えます。
また、定年後生活費や医療費などの支出が増えることも予想されるため、退職金の活用や個人年金、NISAやiDeCoの活用などの様々な「収入」について考えてみてはいかがでしょうか。
老後に向けておすすめの対策として、まずはNISAやiDeCoなど税メリットが期待できる仕組みを活用することを勧めています。
元本割れするリスクはありますが、その分大きなリターンも期待できます。
NISAは今年から制度が抜本的に改革されたため、ご存知の方も多いかと思いますが運用益が非課税となります。
iDeCoについては利益に対して税金がかからず、毎月の掛け金は全額所得控除のため高い節税効果も期待できるのがポイントです。
また、保険会社で積立をする個人年金も、年末調整時に個人年金保険料控除を活用することができます。そのため、税対策をしつつ、堅実に年金を積み立てていくことができます。
自分にあった方法で1日でも長く1日でも早いうちに、老後生活に備える準備を始めましょう。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 日本年金機構「令和6年度「ねんきん定期便」(ハガキ)の見方(50歳以上の方)」
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
立野 力