3. 老後生活の経済的不安を軽減するためのコツ
想定以上に長生きして、資産が尽きてしまうことを「長生きリスク」と呼びます。
高齢になるほど体力的に就労が難しくなるため、収入を年金に依存することになります。以下で、経済的不安を軽減するための方法を解説するので、参考にしてみてください。
3.1 できるだけ長く働く
できるだけ長く働いて収入を得られれば、経済的不安を軽減できます。得られる給与収入で生活費を工面できれば、公的年金の繰下げ受給も可能でしょう。
公的年金を繰下げ受給すれば、65歳時点での年金額から、1カ月あたり0.7%増額された年金を受給できます。増額された年金は一生涯支給されるため、長生きリスクに備えるうえで効果的な対策といえるでしょう。
また、社会保険に加入する働き方であれば、受給できる厚生年金額も増えます。働いている期間中は保険料の負担が発生するとはいえ、長期的に見れば経済的にも精神的にも安心を得られるメリットのほうが大きいでしょう。
3.2 可能な範囲で資産運用する
一般的に、年齢が高くなるほどリスク資産への投資額を抑えて、債券や預金などの安定的な資産を保有すべきといわれています。
しかし、無理のない範囲で運用を行えば、資産寿命を延ばせる可能性があります。十分な貯蓄がある高齢者世帯にとって、「運用しながら取り崩す」のは現実的な選択肢です。
例えば、資産運用せずに1000万円を毎月5万円ずつ取り崩した場合、16年7ヶ月程で底をつきます。
一方で、1000万円を年利3%の想定利回りで運用しながら毎月5万円ずつ取り崩した場合、資産寿命が23年1ヶ月程まで延びます。
しかし、市況が不調だと、想定よりも早く資産が底をついてしまう可能性がある点に留意すべきです。毎年必ず3%の利回りで運用できるとは限りません。
運用しながら取り崩す場合でも、あくまでもリスク許容度の範囲内で運用を行い、過剰に投資しないように注意しましょう。
4. まとめにかえて
税額や社会保険料は前年の所得に基づいて決まるため、当年度の納付額が決定すると年金の振込額も変わります。最終的な振込額に基づいて生活設計しましょう。
老後の経済的不安を軽減するには、できるだけ長く働くこと、可能な範囲で運用することが効果的です。現役のころは計画的に資産形成を行い、老後生活に突入したら、運用しつつ自分に合った資産活用の方法を考えてみましょう。
参考資料
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
- 日本年金機構「年金振込通知書(2:年金振込額に変更があった場合)」
- 甲良町「日本年金機構から年金振込通知書が届きました。10月分から個人住民税(町・県民税)が急に増額になりました。何故でしょうか?」
- 日本年金機構「令和6年10月の年金支払いにかかる年金振込通知書を送付しています」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
柴田 充輝