リトアニアといえば、旧ソビエト圏のバルト3国(リトアニア、ラトビア、エストニア)のひとつで、第2次大戦中にリトアニアの領事館に赴任していた杉原千畝(すぎはらちうね)が、ナチス・ドイツの迫害から多くの難民を亡命させたことでも有名。

バルト3国ではエストニアがビール市場を先導し、リトアニアがそれに続いていて、北欧及びバルト3国では、全人口の約40%がビール好きだという。リトアニアで売られているビールのほとんどがラガーで、クラフトビールはビール全体の2%というが、北欧ではクラフトビールの人気が長年続いていて、独自のブルワリーも数多く誕生している。

そんなリトアニアのクラフトビールが駐日リトアニア大使館で発表された。手がけたのはJLS Trading合同会社で、北欧及びバルト3国の「クラフト」商品の輸入・販売を行う専門商社だ。

リトアニアのクラフトビール8種類が日本初上陸

ゲニスとサキーシュキュアラスの2つのブルワリーから計8種類が発表された(筆者撮影、以下同)

今回、リトアニアにある2つのブルワリーから計8種のクラフトビールが日本初上陸した。2年前にオープンし、ジプシーブルワー(自分の醸造所を持たない)としてスタートしたゲニスからは「チョコレートポーター」「ペールラガー」「ヴィットビア)」の3種類。

リトアニアで最初のクラフトビールブルワーの1社で、欧州以外では日本が最初の輸出先となったサキーシュキュアラスからは「コーンラガー」「パッションフルーツ タルトエール」「ラズベリーゴーゼ」「ミルクスタウト」「ココナッツミルクスタウト」の5種類。

麦芽、ホップ、水だけで醸造するビールと違い、副原料としてオレンジピール、ラズベリー、ココナッツ、バニラなども使われているため、甘味や酸味、スパイシーさがあり、大手国産のビールにはない個性的な味わいが特徴。

試飲は「ココナッツ ミルク スタウト」と「コーンラガー」の2種類

日本は輸入ビールの消費量が少ない

グローバルインターネット調査によると「あなたが普段飲む・購入するアルコールは何ですか?」という質問に、自国のビールだと回答したのが約50%なのに対して、海外ビールを選択したのは約8%と圧倒的に少ない。これは米国、台湾、タイ、ドイツと比べても低い数値だ。

ちなみに、タイでは60%以上、ドイツは約60%が自国のビールだと回答していて、日本よりも高い。自国のビールも海外のビールも飲むというのに対して、日本は自国のビールは飲むが、海外のビールはあまり飲まないという傾向がある。それを好機と捉えて、今回発売するに至ったと、JLS Trading代表取締役の長野草児さんは説明する。

同時に開催されたイベント「リトアニアの夏至祭 ”ヨニネス” 」

クラフトビールの発表後には「リトアニアの夏至祭 ”ヨニネス”」も開催。

リトアニア料理も振る舞われ、参加者は料理の説明が書かれたカードを見ながら味わっていた

リトアニア料理研究家のJurga Varpucianskiene(ユルガ・ヴァルプシアンスキエネ)さんによる、「冷たいビーツスープ」「キャラウェイシードが入ったリトアニアの伝統的な手作りチーズカード」「チョコレートサラミ」など、普段は口にすることがない個性的なリトアニア料理が提供された。また、ビール専門家の米澤俊彦さんによるビールの解説でビールマニアは楽しいひと時を過ごした。

リトアニアのクラフトビールは自社サイトやAmazonなどのオンライン販売で購入でき、クラフトビールイベントの参加などでも飲める。価格は700円~1,000円程度と、国産ビールと比べると高く、日本人が輸入ビールをあまり飲まない原因にもなっているのだろう。

たまにはちょっと変わったビールでも……というときに、リトアニアのクラフトビールはいかがだろうか?

鈴木 博之