2024年10月10日に日本銀行がリリースした「生活意識に関するアンケート調査」(第99回2024年9月調査〉の結果)によると、1年前対比で現在の暮らし向きに「ゆとりが出てきた」と回答した人は5.3%、「どちらともいえない」と回答した人は41.3%、「ゆとりがなくなってきた」と回答した人は52.7%でした。
「ゆとりがなくなってきた」というネガティブな回答が多い原因の1つとして、物価上昇が関係していると言えます。
物価上昇に対して、収入が同じスピードで上がっていれば問題ないですが、冒頭の結果を見る限り、そのような人は少数でしょう。また、この状況が続けば、公的年金が主な収入源となるシニア世帯は生活を切り詰めるか、働く期間を延ばさないといけなくなる人も増えていきそうです。
では実際に、現シニア世帯がどのような暮らしぶりをしているのか見ていきましょう。
その内容を参考に、働き世帯の皆様へ、老後に向けての準備の仕方を載せています。
ぜひ最後までご覧ください。
1. 【65歳以上・年金世帯】無職夫婦世帯の平均貯蓄額はいくら?
総務省が公表した資料によると、65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額は2504万円となっています。
平均額は2000万円を超えており、老後資金としては十分な額にも思います。
一方で、老後2000万円が話題となっている昨今では、「思ったより余裕がないな…」と感じる人もいるかもしれません。
では、過去数年の貯蓄額はどのように推移しているのでしょうか
1.1 2018年から2023年までの平均貯蓄額の推移を確認
- 2018年:2233万円
- 2019年:2218万円
- 2020年:2292万円
- 2021年:2342万円
- 2022年:2359万円
- 2023年:2504万円
2020年までは2200万円台だった貯蓄額が、2023年には2500万円を突破しました。
このように平均貯蓄額が少しずつ増えている背景には、少子高齢化による年金制度の不安定さがあるのかもしれません。
また、年金の実質目減りが続く現代では、「年金だけに頼れないから、もう少し貯金しておこう」と考える人も増えているのでしょう。
ただ、「銀行に預けるだけでは不安…」と感じる方も多いはずです。
そこで次章では、保有する資産の内訳について見ていきましょう。
1.2 65歳以上・無職夫婦世帯の保有資産の内訳
- 有価証券:480万円
- 生命保険など:413万円
- 定期性預貯金:846万円
- 通貨性預貯金:754万円
- 金融機関外:11万円
保有資産の合計は2504万円です。
内訳で一番多い定期性預貯金は846万円ですが、前年と比べて19万円減少しました。
一方、有価証券は480万円となり、前年比で+80万円と増加していますが、定期預金は少し減っています。
最近では、つみたてNISAやiDeCoなど、税制優遇のある投資商品も注目されており、貯蓄から投資へのシフトが進んでいるのかもしれません。
ここまで「年金世帯の貯蓄事情」について見てきましたが、次章では「65歳以上でまだ働いている世帯も含めた貯蓄事情」についても考えてみましょう。