今年7月に厚生労働省が発表した「令和5年簡易生命表の概況」によると、男性の平均寿命は81.09歳、女性の平均寿命は87.14歳となりました。
戦後の平均寿命がおよそ65歳だったことを思うと日本人の長寿化はすさまじい伸びと言えるでしょう。
年金制度はこの時代背景をもとに設定された制度でしたので、今の平均寿命の日本人を支えるのは容易でないことは想像できます。
今の平均寿命をもとに考えてみると、仮に65歳で定年を迎えた場合で約20年から25年、もし100歳まで年金生活が続いたとすると35年間この生活が続くことになります。
果たして年金だけで生活ができるのでしょうか。仮に、年金を受け取れたとして、どの程度足りなくなるのでしょうか。
今回の記事では、実際の平均年金受給額を60歳以降の年代別に見ていきます。
ご自身の年金受給額の目安として、ご自身の老後資金の参考にしてみてください。
1. 国民年金と厚生年金とは?公的年金の仕組みをおさらい
年金制度と聞くと、複雑そうな印象がありますよね。
でも、実は「2階建て構造」と思えば分かりやすくなります。1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金ですが、この2つがどういう役割を持っているのか、順番に見てみましょう。
1.1 国民年金(1階部分:基礎年金)
まず、国民年金が「1階」にあたる部分で、基礎年金とも呼ばれるものです。
日本に住む20歳から60歳未満の人なら基本的に全員が加入対象で、主に自営業やフリーランスの方が該当します。
例えば、2024年度の国民年金保険料は月額で1万6980円。この保険料も毎年少しずつ変わるのです。
どのくらい払ったかで受け取れる年金額が決まっていて、2024年度の満額は月に6万8000円となっています。
1.2 厚生年金(2階部分)
次に2階にあたるのが厚生年金です。
これは、会社員や公務員などが加入する年金で、国民年金の上にプラスされる仕組み。給与やボーナスに応じて保険料が決まるので、収入が多ければ多いほど将来もらえる年金も増える傾向があります。
ただし、年金額には上限もあるため、収入が多いからといって際限なく増えるわけではありません。
では、シニア世代は実際にどれくらい年金をもらっているのでしょうか。厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と厚生年金(国民年金を含む)の平均受給額を年齢別でみていきます。