4. お金のプロからの提案
最後に、ファイナンシャルアドバイザーである筆者が、マネー相談に訪れた方々にお伝えする、老後資金を確保するための具体的な「資産の分散」を一部ご紹介したいと思います。
4.1 NISAやiDeCoの活用
税制優遇措置を受けながら資産運用ができるNISAやiDeCoは、老後資金を効率的に増やすための有力な手段です。
これらの制度を利用して投資信託などのリスク商品に毎月一定額を積み立てる形で投資していきます。
投資信託とは投資家から集めた資金をまとめて、投資の専門家である運用のプロが投資家の代わりに投資をしてくれる金融商品です。
しかし、いくら運用のプロが投資していても元本保証の商品でないため、購入した価格よりも値下がりして、元本割れする可能性があることを理解しておきましょう。
なお、iDeCoでは、元本保証の定期預金を選択することも可能です。掛金が全額所得控除となるため税制面でのメリットが大きいiDeCoですが、金融機関によって管理手数料などがかかるため、総合的に判断しましょう。
4.2 個人年金保険の活用
公的年金だけでは不十分な場合、個人年金保険を活用することで老後の収入を補完することができます。保険料を計画的に積み立て将来の安定した収入源を確保することが可能です。
個人年金保険は将来の年金を準備する性格上、安全性を重視した運用をしている商品が多い傾向にあります。一方で、ある程度「増やす」ことを重視した商品もあるため、自身のご意向に適したタイプを選びましょう。
これらの対応策を組み合わせることで年金や貯蓄だけに頼らない安定した老後生活を実現することが可能だと思います。早い段階から計画を立て均衡することが成功のカギとなるでしょう。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
立野 力