2024年10月18日、総務省は「2020年基準 消費者物価指数 2024年(令和6年)9月分」を発表。9月の総合指数は、2020年を100として108.9、前年同月比2.5%の上昇となりました。

思うように収入が増えない中、物価上昇分を貯蓄から持ち出して補填している世帯もあるでしょう。老後が近い世代は、できるだけ貯蓄には手をつけず、さらに増やしていくことが理想です。

 本記事では、多くの世帯が年金生活を開始していると考えられる70歳代の貯蓄事情を紹介していきます。

老後生活を支える「国民年金」や「厚生年金」の年金月額についても一覧表でご紹介していきますので、参考にご確認ください。

1. 【70歳代・夫婦世帯】貯蓄3000万円以上を保有する割合は「19.7%」

70歳代夫婦世帯の平均貯蓄額・受給割合を見ていきましょう。

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると70歳代(二人以上世帯)の平均貯蓄額は次のとおりです。

なお、本データは「金融資産を保有していない世帯」を含めたものです。

【写真全5枚中1枚目】《貯蓄額の円グラフ》70歳代・二人以上世帯。2枚目以降では「国民年金」と「厚生年金」の平均月額一覧表や、年金収入だけで生活できる高齢者世帯の割合をチェック

【貯蓄額の円グラフ】70歳代・二人以上世帯

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」をもとにLIMO編集部作成

1.1 【70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額】

  • 平均値:1757万円
  • 中央値:700万円

70歳代(二人以上世帯)の平均貯蓄額は1757万円ですが、より実態に近い数値と考えられる中央値は700万円となっています。

貯蓄額のような世帯によって状況が大きく異なるデータは、平均値や中央値では実態を捉えにくいため、貯蓄額ごとの世帯割合より貯蓄事情を深掘りしていきましょう。

1.2 【70歳代・夫婦世帯】貯蓄額ごとの世帯割合を確認

  • 金融資産非保有:19.2%
  • 100万円未満:5.6%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:4.3%
  • 300~400万円未満:4.7%
  • 400~500万円未満:2.5%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:5.8%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:7.4%
  • 3000万円以上:19.7%

貯蓄3000万円以上を保有する世帯は19.7%で、約2割を占めています。

一方で貯蓄が全くない「金融資産非保有世帯」も19.2%を占めており、こちらも約2割となっています。

「長生きするリスク」を考慮すると、貯蓄ゼロで過ごす老後生活は不安が大きいかもしれません。

また、「安心できる貯蓄額」や「必要な貯蓄額」は世帯によって異なるため、3000万円あっても不安を感じる方もいるでしょう。

では、老後資金として最低限いくら準備すべきなのでしょうか。

老後の収入源が公的年金のみとなる場合、年金受給額を基に生活設計を考える必要があります。

年金受給額は現役時代の働き方などによって個々で異なるため、ここでは現代シニアの平均月額を参考に見ておきましょう。