今年の夏から続く米不足により、お米の価格が全国的に上昇しています。特に、年金暮らしの方にとっては生活費に直結する問題となるでしょう。
このような物価高の影響を受ける中、国は生活が厳しい年金受給者を支援するため、「年金生活者支援給付金」を実施しています。この給付金は、一定の基準額を下回る年金受給者を対象に、生活費のサポートを目的として支給されるものです。
9月から順次、対象者には日本年金機構から給付金請求のための書類が送付されています。すでに案内を受け取った方もいれば、「自分は給付金の対象者に該当するのか?」と気になっている方もいるでしょう。
今回は、年金生活者支援給付金の対象となる基準や、実際にどのくらいの給付金が受け取れるのかについて、詳しく解説していきます。
1. 「年金生活者支援給付金」の対象はどんな人?
年金生活者支援給付金とは、どのような制度がご存じでしょうか。
これは、収入が少なく生活が困窮している低年金受給者を支援するための給付金制度です。
対象者は、「老齢年金(国民年金)」「障害年金」「遺族年金」を受給している人のうち、要件を満たした人です。年金に上乗せして受け取ることができます。
ここからは、「老齢年金生活者支援給付金」について詳しく見ていきましょう。
1.1 「老齢年金生活者支援給付金」の要件と給付額
国民年金を受給しており、一定の要件を満たした人が受け取れる老齢年金生活者支援給付金。
支給要件は以下の通りです。
<支給要件>
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
<給付金額(①と②の合計額)>
老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は「5310円」です。
しかし、実際の支給額は個人により異なります。
具体的な給付金額は、下記のように算出されます。
- ①保険料納付済期間に基づく額(月額)=5310円×保険料納付済期間/被保険者月数480月
- ②保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1333円×保険料免除期間/被保険者月数480月
例:下記の場合は、月額4072円が支給されます。
- ①昭和31年4月2日以後生まれの方で納付済月数が240カ月
- ②全額免除月数が60カ月
注意したいのは、この給付金は申請をしないと支給されないという点です。
支給対象となった場合、年金事務所から書類が送られてくるので、必要事項を記載して提出しましょう。
1.2 10万円給付が実施中!まもなく申請締め切り
年金生活者支援給付金とは別に、現在、「住民税非課税世帯」等に対して10万円の給付も実施されています。
2024年度の新たな住民税非課税世帯への給付金の支給対象世帯のうち、18歳以下の児童を扶養している世帯に対しては、対象児童1人当たり5万円が別途支給されることになっています。
ただし、2023年度に実施された7万円・10万円給付の対象となった世帯(未申請や辞退を含む)は対象外です。
世帯によって、申請が必要なケースと不要なケースがあります(例えば、武蔵野市の場合は、給付金の案内(はがき)が届いた世帯は原則手続きは不要)。
支給要件確認書(青封筒)が届いた世帯については、オンライン申請フォームから申請または郵便で確認書を返送する必要があります。
多くの自治体では、10月までに申請を締め切るところが多いため、今一度ご自身が支給の対象ではないかを確認しておくと良いでしょう。