10月15日は公的年金の支給日でした。「10月振込分から老齢年金の振込額(手取り)が変わった」という人もいるでしょう。
本記事では、10月振込分から老齢年金の手取り額が変わる理由を解説していきます。
あわせて、老齢年金の仕組みやシニア世代の平均受給額についても確認しておきましょう。
1. 老齢年金の仕組みや役割について「どこまで知っている?」
公的年金は、老後の大きな収入源となるもので、老後の生活設計とは切っても切り離せない身近な存在です。
一方で、年金の仕組みやルールは複雑で分かりにくい部分もあります。
厚生労働省年金局が公表した「生活設計と年金に関する世論調査」から、みんなの老齢年金の仕組みや役割についての認識に関する調査結果を見ていきます。
1.1 老齢年金の仕組みや役割についての認識
厚生労働省が、全国18歳以上の日本国籍を持つ5000人を対象に行った調査では、老後の生活設計や公的年金制度への意識をたずねています。
その中には「老齢年金の仕組みや役割」についてどの程度知っているかについての設問もあり、以下のような回答結果となりました。
- 学生含め20歳以上の国民は、加入する義務がある:82.0%
- 60~75歳の間で受け取り始める時期を選択できる:73.0%
- 現役で働く世代が、高齢者を扶養する制度である:66.8%
- 保険料の納付状況に応じて年金額が変動する:62.5 %
- 生涯にわたり年金を受給できる:56.4
- 物価や賃金の変動に応じて年金額が調整される:42.3%
- 「ねんきんネット」というサービスが活用できる:30.2%
- 「公的年金シミュレーター」というサービスが活用できる:8.4%
- いずれも知らない:5.1%
- 無回答:1.4%
「学生を含めた20歳以上の国民は、国民年金に加入する義務がある」ことを知っている人は82.0%に上ります。
また、「60〜75歳までの間で受け取り始める時期を選択できる」、つまり繰下げ・繰上げ受給の存在を知っている人は73.0%となりました。
一方で、「物価や賃金の変動に応じて年金額が調整される」ことを知っている人は42.3%にとどまり、「公的年金シミュレーター」というサービスが活用できることを知っている人は8.4%に過ぎないなど、認知度に差があることがみてとれます。
日本は「国民皆年金制度」を採用しており、原則として20歳以上60歳未満のすべての人が公的年金制度の対象ですが、細かい仕組みやルールを知らない現役世代は意外と多いのではないでしょうか。
次章では、いわゆる「年金の盲点」とも言えるポイントの一つ、「老齢年金からの天引き」について整理してお伝えします。