最近、日本では「円安」の影響でインバウンド市場が活況を呈しています。日本政府観光局の発表によると、2024年8月の訪日外国人客数は約290万人で、前年同月比で36%増加し、7カ月連続で同月の過去最高を更新しています。

物価高が影響して日本人の消費や支出が低迷する一方で、外国人観光客、特に「円安」の恩恵を受けている海外の富裕層にとっては、買い物がしやすくなっています。

旅行や環境業界だけでなく、日本国内の不動産投資や購入においても、インバウンド需要は海外の富裕層に広がりを見せているようです。

そこで今回は、富裕層の定義を確認したうえで、日本にはどのくらいの割合の富裕層がいるのかを見ていき、さらにクレジットカード利用のデータをもとに、彼らの消費傾向や資産管理方法について詳しく解説していきます。

1. 日本の富裕層、どのくらい存在してる?

【写真1枚目/全6枚】日本の富裕層の割合。2枚目以降では富裕層のカード利用金額が多かったカテゴリを図表でチェック!

純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数

出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」

豪華なライフスタイルや経済的な自由、そして高い社会的地位ーー富裕層に抱くイメージはこのような憧れの姿ではないでしょうか。

この憧れの存在ともいえる日本の富裕層、その実態を確認していきましょう。

野村総合研究所のデータによると、日本では148万5000世帯が富裕層に該当します。

これは、純金融資産が1億円以上5億円未満の「富裕層」と、5億円以上の「超富裕層」で合わせた世帯数で、日本全体の約2%にあたります。

1.1 【一覧表】富裕層の世帯数と保有資産規模

  • 超富裕層(5億円以上):9万世帯/105兆円
  • 富裕層(1億円以上5億円未満):139万5000世帯/259兆円
  • 準富裕層(5000万円以上1億円未満):325万4000世帯/258兆円
  • アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):726万3000世帯/332兆円
  • マス層(3000万円未満):4213万2000世帯/678兆円

データを取り始めた2005年から2021年までに、富裕層の数は増え続けています。

将来的には、さらに資産の偏りが大きくなると言われています。

一般家庭においては生活が苦しいという話も耳にする一方で、なぜこんなに富裕層が増えているのか、考えていきましょう。