国税庁が9月下旬に公表した最新資料「令和5年分 民間給与実態調査」によると、2023年の日本の給与所得者の平均年収は「460万円」となりました。
日本の給与所得者の平均年収は、ここ数十年400万円台を推移しており、「日本の一般的な年収=400万円台」というイメージを持つ方も多いでしょう。
一方で、平均年収の倍以上となる「年収1000万円以上」の給与所得者も一定数存在します。
では、日本の給与所得者の中で「年収1000万円以上」の人は、どのくらいいるのでしょうか。
本記事では、「年収1000万円以上」の給与所得者の割合について紹介していきます。
年収1000万円世帯の割合や共働き率、貯蓄事情なども紹介しているので参考にしてください。
1. 【最新データから見る】日本の給与所得者の年収割合
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の割合は下記の結果となりました。
1.1 年収1000万円以上の割合(男女別)
- 全体:5.5%
- 男性:8.6%
- 女性:1.4%
国税庁の資料によると、2023年の1年を通じて勤務した給与所得者のうち、年収1000万を超えた人の割合は、全体の5.5%となりました。
男女別に見ても「年収1000万円以上」に到達している人は、男性で8.8%、女性が1.4%であることから、会社員や公務員が年収1000万円超となるハードルは非常に高いことがうかがえます。
では、夫婦の収入を合算した「世帯年収」の場合はどうでしょうか。
次章にて、世帯年収1000万円以上の割合についても見ていきましょう。
2. 世帯年収1000万円以上の割合は11.6%
厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、世帯年収1000万円以上の割合は11.6%となりました。
「給与所得者の年収」と「世帯年収」を比較すると、世帯年収のほうが1000万円以上の割合が多くなっていることがわかります。
近年においては、一昔前よりも共働き世帯が増加傾向にあることから、夫婦の収入を合算して年収1000万円以上となる世帯が増えていると考えられます。
2.1 年収別「共働き」の割合
実際に、総務省統計局の「家計調査」によると、年収1000万円以上の世帯のうち約7割が、共働き世帯です。
さらに、年収が低い世帯ほど共働き率が低くなっていることから、「収入の高さと共働き率」は密接に関連し合っていることがうかがえます。
また、「年収が高いほど貯蓄が多い」という印象を持つ方も多いかもしれませんが、世帯年収1000万円以上の貯蓄状況はどうなっているのでしょうか。
次章にて、世帯年収1000万円以上の平均貯蓄額を見ていきましょう。
3. 世帯年収1000万円以上の貯蓄事情。平均貯蓄額はいくら?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」による、二人以上世帯の年収1000万円以上の平均貯蓄額は下記のとおりです。
平均値は、すべてのデータ数を足してその個数で割った数値であり、極端に大きな値があった場合は、その数字に偏る傾向にあります。
一方で中央値は、データを順に並べたときのちょうど真ん中に位置する値であるため、中央値のほうがより実態に近い貯蓄額と言えるでしょう。
世帯年収1000万円超の平均貯蓄額の中央値は1000万円以上であり、収入が多い世帯は貯蓄額も多い傾向にあることがわかります。
次に、世帯年収1000万円以上の貯蓄割合も見ていきましょう。
3.1 【貯蓄ゼロ世帯も】世帯年収1000万円以上の貯蓄割合
金融広報中央委員会の同調査による、二人以上世帯の年収1000万円以上の貯蓄割合は下記のとおりです。
貯蓄3000万円以上を保有している割合が最も高く、年収1000万円超世帯の半数以上が貯蓄額が1000万円以上となっています。
一方で「金融資産を全く持たない」世帯の割合が約1割を占めていることから、年収1000万円以上の世帯が必ずしも十分な貯蓄を持っているとは言い切れないようです。
4. 年収1000万円でも「高収入とは言い難い」理由
前章では、年収1000万円以上世帯の貯蓄割合についてみていきましたが、中には貯蓄ゼロ世帯も存在します。
年収1000万円以上の世帯でも、貯蓄ゼロ世帯が存在する理由には、いくつかの要因があります。
まず、所得税や社会保険料の負担が大きいことが挙げられます。
所得が1000万円を超えると、所得税率は33%〜45%に達しますが、所得300万円の場合の税率が10%であることと比較すると、その負担の差が明らかです。
高い税率に加え、社会保険料も高額になるため、実際の手取り額は少ないことが多いです。
さらに、高収入世帯は「所得制限」の対象となるケースがあり、受けられる制度やサービスが制限されることがあります。
これにより、本来得られるべき支援が受けられず、結果的に貯蓄に回せる余裕がなくなることがあります。
このような背景から、年収1000万円でも実際には高収入とは言い難いケースもあり、生活費や教育費などでの支出が大きく、貯蓄が難しい状況になっていることがうかがえます。
将来の資金準備を考えて年収を上げたいと考えている方は、単に年収を増やすだけでなく、節税対策や家計の見直しも行うことで、より効果的な貯蓄が可能になるでしょう。
5. 夫婦で協力すれば「世帯年収1000万円超」も夢ではない
本記事では「年収1000万円以上」の給与所得者の割合について紹介していきました。
給与所得者のうち年収1000万円以上の割合は「5.5%」である一方、世帯年収の場合は「11.6%」となっています。
世帯年収1000万円以上の世帯の約7割が共働き世帯であることから、夫婦で協力すれば世帯年収1000万円超を達成することも夢ではありません。
しかし、世帯年収が1000万円を超えても、節税対策を怠ったり、生活水準を上げすぎたりすると、資産を思うように増やしていくのは難しくなるでしょう。
収入を増やすだけでなく、iDeCoや生命保険控除、住宅ローン控除などの税制優遇制度を活用し、確実に資産を積み上げていくことが大切です。
これは年収1000万円以上の世帯に限らず、資産を増やしたいと考えているすべての世帯に当てはまるため、この機会にご自身の給与や家計収支を改めて見直してみましょう。
参考資料
- 国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
- 総務省統計局「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
太田 彩子