3. 年金受給開始年齢別の受給額シミュレーション

では、具体的に何歳から年金を受け取れば、生涯で受け取れる年金額が高くなるのでしょうか。

今回は、以下の条件でシミュレーションを行い、各年齢で受給を開始した場合の生涯の総受給額を比較していきます。

【前提条件】

  • 65歳からの年金受給額:月額14万4000円(令和4年度の老齢年金平均受給額)
  • 年金受給期間:90歳まで(65歳の人が90歳まで生存している割合が62%であることを参考に設定)
  • 年金受け取り開始年齢:60歳、65歳、70歳、75歳で比較

3.1 60歳で受給を開始する場合

老齢年金は、1ヶ月繰り上げるごとに0.4%減額(昭和37年4月1日以前生まれは0.5%)されます。

65歳が原則の支給開始年齢であるため、60歳で開始した場合は24%が減額されます。月額の受給額と90歳までの受給額は下記の通りです。

月額受取額:14万4000円×0.76=10万9440円
90歳までの受取額:10万9440円×12ヶ月×30年=3939万8400円

3.2 65歳で受給を開始する場合

65歳は、増額も減額もされない金額となるため、月額と84歳までの受給額は下記の通りです。

月額受取額:14万4000円
90歳までの受取額:14万4000円×12ヶ月×25年=4320万円

3.3 70歳や75歳で受給を開始する場合

老齢年金を繰り下げた場合、1ヶ月ごとに0.7%増額されます。そのため、70歳で受け取る場合は42%、75歳で受け取る場合には84%増額されることとなります。

70歳開始の月額:14万4000円×1.42=20万4480円
90歳までの受取額:20万4480円×12ヶ月×20年=4907万5200円

75歳開始の月額:14万4000円×1.84=26万4960円
90歳までの受取額:26万4960円×12ヶ月×15年=4769万2800円