2. 思わぬ相続トラブルを避ける「遺言書の作成」

思わぬ相続トラブルを避ける「遺言書の作成」

Anton_Lutsenko/shutterstock.com

遺言書の作成についても、子どもがいない夫婦にとって、知っておきたいことの一つです。

遺言書を作成していない場合、財産は、配偶者をはじめ、法定相続人(直系尊属または兄弟姉妹)に相続されます。本人の意思を示したい場合、遺言書の作成は必須といえるでしょう。

2.1 遺言書作成の意義

遺言には、次のような意義があります。

自分が生涯をかけて築き、かつ、守ってきた大切な財産を最も有効・有意義に活用してもらうために行う遺言者の意思表示です。

日本公証人連合会「遺言の意義および種類」より引用

遺言書作成がない場合、遺産分割協議が必要で、民法により、法定相続人に定められた割合で遺産を分けなければなりません。

場合によっては、夫婦の意図しない形で遺産が分配されることも考えられます。夫婦が財産を分配する意向を示す場合、遺言書の作成が必要です。

2.2 遺言の種類

民法では、普通の方式による遺言の種類として、以下の3つの種類があります。

  • 自筆証書遺言
  • 秘密証書遺言
  • 公正証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が全文、日付、氏名を自分で書き・押印する必要がある遺言です。

自筆証書遺言は、手軽に作成でき、費用がかからないのが特徴です。一方で、法的要件を満たしていないと、無効となったり、家庭裁判所での検認手続きが必要であったりします。

秘密証書遺言は、文字通り、遺言者以外誰にも知られない遺言ですが、あまり使われることがありません。パソコンや代筆で作成可能な点がある反面、発見されないリスクがあります。

公正証書遺言は、遺言者が公証人に遺言内容を口授し、公証人が筆記し、遺言者と二人以上の証人の立ち会いにより作成する遺言です。

公証役場に保管されるため安心・確実で紛失の心配がない一方で、2人以上の証人が作成の際に必要で、費用もかかります。