2024年9月17日、厚生労働省は「令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況」を公表。これによると出生数の減少もあり、人口の自然増減、実数・率ともに17年連続でマイナスとなりました。

少子高齢化が進み、年金制度の支え手が減りつつあるいま。将来自分が受け取る年金に漠然とした不安を抱える人は少なくないでしょう。

一般的な年金受給年齢である65歳以降も働き続けるシニアは増えています。今回は、65歳以上世帯の貯蓄や家計の収支データを見ていきたいと思います。

1. 65歳以降のリタイヤ組「夫婦世帯の貯蓄額」平均いくら?

【写真1枚目/全4枚】65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額。では勤労世帯も含む平均はいくら?次の写真をチェック

65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」

総務省統計局が公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄額は平均で2504万円。2018年から2023年の推移も見ていきましょう。

1.1 2018年から2023年までの平均貯蓄額の推移

  • 2018年:2233万円
  • 2019年:2218万円
  • 2020年:2292万円
  • 2021年:2342万円
  • 2022年:2359万円
  • 2023年:2504万円

2018年から2020年までは2000万円台でしたが、2021年に2300万円台へ。その後2023年には2500万円の大台に乗ります。

65歳以降世帯の資産は、自分で築き上げた貯蓄のほか、遺産相続や定年退職などの一時的な大型収入であることも珍しくはありません。また、保有する有価証券の資産価値が上がった結果、貯蓄額が引き上げられたという世帯も一定数含まれているはずです。

では、65歳以上世帯はどのような形で資産を持っているのでしょうか。次でその内訳を見ていきます。

1.2 保有資産の内訳

合計:2504万円

  • 有価証券:480万円(19.2%)
  • 生命保険など:413万円(16.5%)
  • 定期性預貯金:846万円(33.8%)
  • 通貨性預貯金:754万円(30.1%)
  • 金融機関外:11万円(0.4%)

世帯主が65歳以上の無職夫婦世帯が保有する資産の平均は合計2504万円。定期性預貯金が占める割合は33.8%と、前年度より2.9ポイント低下。金額にすると19万円のマイナスです。

一方、有価証券の割合は19.2%と、前年から2.2ポイント上がっています。金額にすると80万円増えていますね。

iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やNISAなどの税制優遇制度が広く知られるようになったことも、その背景の一つと言えそうです。そして、昨今の物価上昇から、インフレ対策として資産運用でお金を守る発想を持つ人が増えていることも考えられるでしょう。

ここまでは世帯主が65歳以上の「無職夫婦世帯」、すなわち「リタイア組」に絞って貯蓄データを眺めてきました。次では、65歳以上の「働く世帯も含めた」夫婦世帯の貯蓄事情についても眺めていきます。