1.3 70歳代「平均貯蓄額」はいくらか

では、70歳代の平均貯蓄額はいくらくらいなのでしょうか。

総務省統計局が公表している、世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高、負債保有世帯の割合についてのデータによると、70歳以上の世帯の純貯蓄額(貯蓄現在高-負債現在高)は2425万円と、最も多くなっています。

また、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、70歳代の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)は、平均で1757万円、中央値は700万円。なかでも貯蓄ゼロ(非保有)の割合は19.2%という結果になっています。

一般的に、平均値は富裕層の影響を受けるため、中央値がより現実的な数字と言うことができます。

70歳代で貯蓄額が700万円の場合、前述した年金と合わせても、それだけで生活していくには心許ない額と言わざるを得ません。

実際、年金だけで生活できるシニアは41.7%というデータも出ているため、早いうちから計画的に資産形成を行い、十分な老後資金を確保することが大切です。

2. まとめ

近年、物価の高騰が顕著になっており、政府が年金生活世帯を対象に給付金を検討するなど、その家計に与える影響はますます大きくなっています。

今回紹介したように、70歳代の平均年金額は、特に国民年金の場合、毎月の消費支出をまかなうにはかなり少ないと言えるでしょう。貯蓄額についても、それだけで生活していくことは困難と言わざるを得ない額になっています。

そのため、金銭面における懸念を少しでも減少させ、安心した老後の生活を送れるよう、今のうちから家計を見直し、計画的に資産形成を行っていくことが大切です。

参考資料

中島 翔