5. 年金の繰上げ・繰下げ受給とは
老後の準備として65歳以降も働き続けたり、節約して貯蓄をつくったりといろいろな考え方があると思います。
その中で今回見てきたような「年金」が非常に重要になるため年金の繰上げ受給や繰下げ受給を知っておくと良いでしょう。それぞれについてメリット・デメリットを紹介していきます。
5.1 年金の繰上げ受給
現在の公的年金制度では、年金受給開始期は原則65歳とされています。これよりも早く年金を受け取ることを、繰上げ受給と言います。最大60歳まで繰り上げることができ、1カ月単位で選択できます。
65歳より早く退職する人も多いため、繰上げ受給をすることで生活費や趣味など、自身のライフプランに合わせて活用することができます。
また、病気等で意図せず働けなくなった場合に、医療費や生活費として活用することもできるでしょう。
ただし、繰上げ受給を申請した際に定められた減額率(一月ごとに0.4%)が適用され、生涯減額された年金を受給することとなります。
加えて、繰上げ受給期間中は、国民年金の加入や保険料の追納ができないため、年金額を増やすことはできません。
5.2 年金の繰下げ受給
繰上げ受給と反対で、最大75歳まで受給を遅らせることを繰下げ受給といいます。
1月遅らせるごとに0.7%ずつ年金額が増額され、年間で8.4%と高い増額率が適用されます。
65歳以降も収入がある場合や、十分に貯蓄があり年金収入をすぐに必要としない方にとっては、年金を多く受けることができるので選択肢になるでしょう。
ただし、繰下げ受給を選択したのち、早期に亡くなってしまうと受給総額が減ってしまう可能性があります。また受けとる年金は収入となるため、金額に応じて個人税や社会保険料の負担が必要となります。
収入が多ければ、当然その負担額も高くなるので、注意が必要です。
このように年金の繰上げ・繰下げ受給にはメリット・デメリットが存在するので、計画的に活用することが大切です。
6. 老後の資金計画を立てましょう
今回は、国民年金・厚生年金の平均受給額について見てきました。
年金は老後の生活の柱となるため、これを機にご自身の将来の年金見込み額を確認してみてはいかがでしょうか。
その際に「少ない・足りない」と感じた方は早急に対策をしていきましょう。
現役世代の方が今から取り組めることとして、資産運用も選択肢の一つです。
昨今の日本では、銀行に預けていてもお金は増えません。加えて物価の上昇もあり、お金の価値は目減りする一方です。
資産運用にはリスクが伴いますが、コツコツ継続していくことで資産を増やせる可能性もあります。
老後までの時間が長ければ長いほど対策の手段は増えます。まずは理想のセカンドライフの過ごし方を考えてみましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
LIMO編集部