5. 老後に向けて「今のうちからできること」

今回は、公的年金の仕組みや年金受給額の決まり方について確認していきました。

厚生年金は、年金加入期間と年収によって大きな個人差が出ることがわかりました。ご自身の年金見込額は「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認できます。

まずは、将来どのぐらい年金がもらえるかを把握し、老後資金の不足額を算出してみると良いでしょう。年金だけでは不十分と感じたら、早めに資産づくりを始めるのが大切です。

低金利時代のいま、銀行に漠然とお金を預けておいても利息はごくわずか。むしろ物価上昇によってお金の価値が目減りしていく一方です。そんな中、資産運用は老後対策に有効な手段の一つとなるでしょう。

投資には元本保証がないなどのリスクが伴いますが、長期・分散・積立を行うことにより、できるかぎりのリスクを軽減することにも繋がります。

iDeCoや新NISAなど、国の税制優遇制度を活用するのも一案です。ぜひ自分にあった老後対策の手段を検討してみてはいかがでしょうか。

【編集部よりご参考】

第1号被保険者や第3号被保険者は、将来国民年金のみの受給となります。

参考までに、国民年金(老齢基礎年金)の受給額ごと人数もご紹介します。

国民年金受給額ごとの人数

  • 1万円未満:6万5660人
  • 1万円以上~2万円未満:27万4330人
  • 2万円以上~3万円未満:88万1065人
  • 3万円以上~4万円未満:266万1520人
  • 4万円以上~5万円未満:465万5774人
  • 5万円以上~6万円未満:824万6178人
  • 6万円以上~7万円未満:1484万7491人
  • 7万円以上~:178万3609人

6. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説

年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説

年金に関する疑問

出所:厚生労働省、日本年金機構などの各種資料をもとにLIMO編集部作成

日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。

6.1 年金の主な種類と仕組みは?

日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。

国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。

6.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?

年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。

例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。

6.3 年金を増やす方法はあるのか?

年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。

また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。

さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。

参考資料

菅原 美優