10月は2カ月に1度の年金受給月となります。
年金を受給されている方は、年金が振り込まれる偶数月を楽しみにされているのではないでしょうか。
筆者は個人向け資産運用のサポート業務に従事していますが、現役世代の方々から「年金について詳しく知りたい」といったご相談を受けることが増えたと感じています。
年金制度はやや複雑かもしれません。しかし、一般的に老後生活を支える主な収入源となる大切な制度です。老後を迎える時に慌てることのないよう、正しく理解しておきましょう。
そこで今回は「厚生年金・国民年金」における60歳代、70歳代、80歳代の平均受給額について解説していきます。
1. 厚生年金と国民年金のしくみ
以下の図は、日本の公的年金制度における、「年金の種類」と「対象者」を表しています。
日本の公的年金制度は「2階建て構造」で、国民年金と厚生年金があります。
ここからは、国民年金と厚生年金の特徴について詳しく見ていきましょう。
1.1 国民年金(1階部分:基礎年金)
- 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
- 保険料は一律(年度ごとに改定あり)※2024年度は月額1万6980円
- 保険料の納付期間に応じて将来もらえる年金額が決まる※2024年度の満額は月額6万8000円
1.2 厚生年金(2階部分)
- 公務員やサラリーマンなどが国民年金に上乗せして加入する
- 毎月の給与や賞与などの報酬に応じた保険料を支払う(上限あり)
- 加入期間や保険料の納付額に応じて計算され、国民年金に上乗せして支給される
日本の公的年金制度は、現役世代が納めた年金保険料を、その時々の高齢者へ年金として給付するしくみを基本としています。
原則、日本に住む20歳以上60歳未満の全ての人が「国民年金」に加入する義務があります。
経済の変動によって給付する年金額に支障が生じないように、過去の積立金を活用しながら運営されているのが特徴です。
厚生年金は、国民年金に上乗せする形で、主に公務員や会社員が加入する制度です。
なお、2024年10月から厚生年金保険の加入対象者が拡大します。
これまで、2016年10月から「従業員501人以上」、2022年10月から「従業員101人以上」の勤め先で働き、一定の条件を満たすパート・アルバイトの方は厚生年金保険の加入対象でした。
2024年10月からは、「従業員51人以上」の勤め先で働くパート・アルバイトの方で、以下に該当する場合も厚生年金保険の加入対象となります。
- 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
- 所定内賃金が月額8万8000円以上
- 2カ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
なお、所定内賃金とは、基本給及び諸手当のことです。
通勤手当や残業代、賞与などは所定内賃金に含みません。
また、学生は対象外とされていますが、上記に該当する休学中の方や夜間学生は、厚生年金保険の加入対象となります。
ここまで、公的年金制度のしくみについて解説しましたが、現代のシニア層は年金をどれくらい受給しているでしょうか。
次章では、60歳代から80歳代までの国民年金・厚生年金の受給状況を確認します。