3. 低年金世帯を支える「年金生活者支援給付金」とは?
所得が一定基準を下回る公的年金受給者には、「年金生活者支援給付金」が支給されます。
この給付金は、消費税引き上げに伴う対策として導入された比較的新しい制度となっています。
2024年9月1日から、新たに「年金生活者支援給付金」の対象となる方に対して「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次送付され、該当する受給者は請求手続きを行えば、給付金を受け取ることができます。
年金生活者支援給付金には、「老齢年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」の3種類があり、それぞれ要件が異なります。
参考までに、老齢年金生活者支援給付金の要件は下記のとおりです。
【老齢年金生活者支援給付金の要件(対象者)】
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が、1956年4月2日以後生まれの方は88万9300円以下、1956年4月1日以前生まれの方は88万7700円以下(※2)であること
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 1956年4月2日以後生まれで、合計額が78万9300円を超え88万9300円以下である方と、1956年4月1日以前生まれで、合計額が78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
給付基準額も各年金生活者支援給付金によって異なりますが、老齢年金生活者支援給付金の場合は月額5310円です。
ただし、上記はあくまで「基準額」であり、実際は保険料納付済期間により計算されるため個人差があることを留意しておきましょう。
4. まとめにかえて
どの世代でも半数以上が生活が苦しいと答えていますが、高齢者世帯がそのように答える背景として、年金受給額が少ないからということが見えてきましたね。
「年金生活者支援給付金」という制度もありますが、低年金世帯の生活をサポートするものであり、十分な収入を確保するものではありません。
冒頭で触れた物価上昇による家計への影響も考慮した上で、公的年金に依存しない老後のマネープランを検討していく必要があるでしょう。
参考資料
- 総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)9月分」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「令和4年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況 」」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
宗形 佑香里