シルバーウイークに続く、9月2度目の3連休。お彼岸を機会に、シニアの家族とゆっくり過ごす時間がとれたという人もいるでしょう。
総務省統計局が2024年9月16日に公表したデータによると、総人口に占める高齢者人口の割合は、過去最高だった前年度より0.2ポイント上昇し、29.3%となりました。
加えて75歳以上の後期高齢者は2076万人で、総人口の16.8%。来たる2025年は「団塊の世代」がすべて75歳になる年であると同時に、高齢者の5人に一人が認知症となるとの推計が厚生労働省から公表されている年でもあります。
超高齢化社会を迎え、家族の介護に自分ごととして向き合う人が増えるこんにち。
内閣府の調査によると、65歳以上男女の8割超が「介護費用は自分の資産から捻出するつもり」と回答してはいます。しかし、いざ介護が始まったらどうでしょう。
介護費用を肩代わりする必要がなかったとしても、各種サービスの申請や支払い手続きなどをまるっと子ども世代が行うことになるケースは珍しくありません。食事や移動介助といった日常ケアとともに、こうした細かい事務処理も介護の一つと言えるでしょう。
「誰が介護のキーパーソンとなるか」をめぐり、きょうだい間でのトラブルや揉め事に繋がるケースもありますね。今回は「介護の担い手」に関する内閣府や厚生労働省の意識調査の結果をもとに、親の介護について考えていきましょう。
1. 【令和の年金世代】トイレなどの介護が必要になったら「誰に介護してもらいたい?」
内閣府の「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果(※)」では、「将来、排せつ等の介護が必要な状態になった時、「誰に介護を頼みたいか」 という設問があります。
※調査対象は、施設入所者を除く全国の65歳以上の男女合計4000人
1.1 トイレなどの介護が必要になったら「ヘルパーなどに頼みたい」が約半数
将来、排せつ等の介護が必要になった時、誰に介護を頼みたいか
全体(n=2228)
- ヘルパーなど介護サービスの人:46.8%
- 配偶者:30.6%
- 子:12.9%
- 子の配偶者:1.0%
- 兄弟姉妹:0.8
- その他の家族・親族:0.4
- 友人・知人:――
- 特にない:4.3%
- その他:1.2%
- 不明 無回答:1.9%
上位回答は、「ヘルパーなど介護サービスの人(46.8%)」「配偶者(30.6%)」「子(12.9%)」に次いで「子の配偶者(1.0%)」となっています。その割合は、女性 58.0%、男性 34.3%と、女性が高めですね。
「配偶者」と答えた人の割合は男性 50.8%、女性 12.5%と圧倒的に男性が高い結果となりました。ここで「子」や「子の配偶者」と答えた人について、さらに深掘りしていきます。
1.2 「子」や「子の配偶者」に介護してほしい人の割合は?
「子」と「子の配偶者」に介護してほしいと回答した人の割合はどのくらいでしょうか。子どもがいる回答者に絞ってその割合を見ていきます。
- 子供あり(同居のみ)(n=299):26.1%
- 子供あり(別居のみ)(n=1127):9.8%
- 子供あり(同居・別居ともに)(n=572):17.0%
また「子の配偶者」と回答した人の割合は
- 子供あり(同居のみ)(n=299):1.7%
- 子供あり(別居のみ)(n=1127):0.3%
- 子供あり(同居・別居ともに)(n=572):2.6%
また、「子」「子の配偶者」と答えた人の割合を、都市規模別に見てみると……。
- 大都市(n=584):子9.1% 子の配偶者0.9%
- 中都市(n=888):子14.1% 子の配偶者0.7%
- 小都市(n=555):子14.6% 子の配偶者1.3%
- 町村(n=201):子14.4% 子の配偶者2.5%
子ども世代に介護を頼みたいと考える人の割合は、「町村>小都市>中都市>大都市」と、都市規模が大きいほど低くなっていく傾向が見られます。
2. 【親の介護】子どもがするのは当たり前?
次は、厚生労働省の2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況から、主な介護の担い手について見てみましょう。
2.1 「要介護者等」からみた「主な介護者」の続柄別構成割合
同居の主な介護者
- 同居の配偶者:22.9%
- 同居の子:16.2%
- 同居の子の配偶者:5.4%
- 同居の父母:0.1%
- 同居のその他の親族:1.2%
別居の家族等
- 別居の家族等:11.8%
- 事業者:15.7%
- その他:0.6%
- 不詳:26.0%
「介護が必要となる人」と「主な介護者」との同居・別居の割合を見てみると「同居」が45.9%に。「同居の主な介護者」について、介護が必要となる人から見た関係は「配偶者」が22.9%で最多。ついで「子」が 16.2%となっています。
また、介護が必要な人と「同居の主な介護者」の年齢の組み合わせに目を向けてみると、60歳以上同士は77.1%、「65歳以上同士」は63.5%、「75歳以上同士」は35.7%。「老々介護」の割合は緩やかに上昇していることも分かります。
夫婦世帯であれば、もしどちらかが要介護となったとき、健康な方が介護の担い手となる傾向にあることは推測できそうですね。
3. まとめにかえて
高齢化が進む一方で、少子化や核家族化が進むこんにち。介護の担い手は確実に減少していきます。老老介護や遠距離介護を余儀なくされるケースが増えるのは必然的なことと言えるでしょう。
そのような中で、育児と介護を並行して行わねばならない「ダブルケアラー」や、仕事と介護を両立させる「ビジネスケアラー」、子どものうちから日常的に家族のケアを行わざるを得ない「ヤングケアラー」などの存在も明らかになってきました。
好むと好まざるとにかかわらず、家族の介護のために負荷を背負い心を砕く人たちの姿は、メディアなどでも報道される機会が増えました。
それぞれの家族構成や要介護者の状態によっても状況は違ってくるとは思いますが、やはり介護にかかる心身のストレスや金銭面での負担は決して少ないものではありません。
介護は先の見通しが立ちにくいという性質があります。育児や仕事などのように、先を見越したうえで期間を設定できるようなものとは異なります。
たとえ長丁場を覚悟していた場合でも、実際に介護の日々が重なってゆくことで家族を苦しめることもしばしばです。だからこそ、そのとき――介護が必要となったときを見据えて、事前に親子や家族で話し合いをして意思疎通しておくことが大切なのです。
4. 「親の心、子知らず」「子の心、親知らず」そんな介護生活にならないために
民法877条1項には、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と記されています。
まさにその通りに家族のケアや介護のために色々なことを犠牲にして頑張る方も多くいらっしゃいますが、24時間つきっきりで介護をすることだけが正義ではありません。介護のプロに頼るのも然るべき手段です。
親を介護施設へお願いしたことについて、良心の呵責に苛まれる必要はありません。ましてや外野の親族や他人が非難すべきことでもありません。
とはいえ、身内以外には面倒をみてもらいたくない、家族以外を自宅にあげたくないと考える人もいるでしょう。
お互いの意思疎通がとれており納得したうえで在宅介護や家族でのケアを選択するのはありですが、それぞれの負担になることは避けたいものです。
「親の心、子知らず」「子の心、親知らず」ではないか、それぞれ冷静になることが必要なのではないかと筆者は考えます。
参考資料
- 総務省統計局 統計トピックスNo.142「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」(2024年9月15日)
- 内閣府「令和4年 高齢者の健康に関する調査」3.医療・福祉
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」Ⅳ 介護の状況 1 要介護者等のいる世帯の状況
- 民法 e-GOV(法令検索)
吉沢 良子