5. 将来に向けた資産形成のポイント
将来や老後に向けた資産形成のために、具体的にどのような方法があるのかご紹介します。
5.1 個人年金保険
個人年金保険は、保険会社が提供しているもので、じっくりと資金を積み上げていきたい方には向いているでしょう。
個人年金保険により大きなリターンを期待するのは難しい傾向にありますが、安定して少しずつ資金を積み立てられるのがポイント。
また、年末調整や確定申告において節税も可能です。
5.2 iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後に向けて資産運用を行い、資金を積み立てていくことを目指すものです。
運用状況により、個人年金保険よりもリターンが大きくなる可能性が期待できます。
株式中心の投資信託で積極的な運用を行ったり、安定した商品に投資することもできますが、元本保証ではないことを覚えておきましょう。
リターンとリスクは比例するため、投資先の特徴やリスクとリターンのバランスなどを理解したうえではじめることが大切です。
また、iDeCo(個人型確定拠出年金)は、積み立てた金額が全額所得控除できるため、税制面でのメリットがあります。
ただし、ご注意いただきたいのは「60歳まで引き出せない」こと。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は老後のために運用していくものなので、生活資金ではなく余剰資金をあてて資産形成を行うようにしましょう。
5.3 新NISA(少額投資非課税制度)
NISA制度は2024年1月から改定され、さらに注目を集めています。
新NISAは、投資信託だけでなく株式にも投資できます。
通常、資産運用で得た利益に対して20.315%の税金がかかりますが、新NISAの制度を利用することで利益や配当金が非課税になるのが特徴です。
また、前述したiDeCo(個人型確定拠出年金)とは異なり、引き出しが自由にできるのもポイント。
ただし、新NISAでの運用は、元本保証ではなく、資産運用によって必ず資金が増えるというわけではありません。
景気や経済情勢などの影響により、価格が変動する可能性もあることをご留意ください。
将来に向けた資産形成のために3つの方法をご紹介しましたが、この他にもさまざまな選択肢があるため、自分に合った方法を見つけて少しずつでも準備していけるとよいですね。
6. 年金だけに頼らない老後の資産形成
ここまで、厚生年金や国民年年金の平均受給額、公的年金を30万円以上受給している人の割合などについて見てきましたが、老後に旅行や趣味を楽しみたいとなると「年金だけで足りない」と感じる人が多いのではないでしょうか。
そのため、現役世代のうちから老後のための資産形成について考えることが大切です。
個人向け資産運用のアドバイザーをしている筆者は、お客様にまず「新NISA」をおすすめしています。
新NISAは100円からはじめることができ、60歳まで引き出せないiDeCo(個人型確定拠出年金)とは異なり、いつでも簡単にやめることも可能だからです。
しかし、新NISAは元本の保証があるものではなく、リターンが期待できる分リスクも伴います。
自分自身で新NISAについて情報収集をしてみて、まずは少額からでも老後の資産形成をはじめてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 日本年金機構「Q.年金から所得税および復興特別所得税が源泉徴収される対象となる人は、どのような人でしょうか。」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「公的年金から源泉徴収される所得税等の定額減税」
- 厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しー令和6(2024)年財政検証結果ー」
筒井 亮鳳