4. 働き盛りの「老後資金づくり」は長期戦で臨もう!
今回は、シニアライフを支える柱となる老齢年金の意外な盲点として、「年金から天引きされるお金」について紹介しました。
働き盛りの現役世代が年金について考えたとき「いくらもらえるのか」と金額に目が行きがちです。また、年金まわりのしくみはややこしい部分が多いのも確か。ねんきんネットで調べた年金額の「額面」から差し引かれるお金の存在も知っておきましょう。
年金支給は2カ月に一度、ふた月分が合算で振り込まれます。月に一度お給料が入ってきたころとは、家計管理のリズムもやや変わりますね。リタイヤ後にはこうした色々な変化が訪れます。限られた収入でやりくりする難しさを感じたり、健康面での問題が増えて医療費がかさんだり……。
年金額や資産状況は世帯によってそれぞれですが、公的年金だけに頼る老後を心もとないと感じて、老後資金の準備をコツコツと進めている人もいるでしょう。
老後の資金づくりにあたり最も身近な手段の一つが、銀行などの預貯金ですね。毎月のお給料から先取り貯蓄を行っている人もいるはずです。ただし、超低金利が続くいま、預貯金だけでは資産を育てることには繋がりにくいのが現状。また、昨今の物価上昇を鑑みると、インフレリスクを意識した資産づくりが大切になります。
そこで取り入れてみたいのが、資産運用でお金を育てる発想です。2024年に新NISA制度が始まったことなども相まって、資産運用を検討する人が増えた感もあります。
預貯金とは異なり、資産運用はリターンとリスクがセットでついてきます。しかし運用期間を長くとることでリスクの軽減につなげていくことも可能です。時間を味方につけて、複利の力を最大限に生かしながら、大切なお金をじっくり育てていけると良いですね。
最適な運用商品は人それぞれ。攻めと守りのバランスを考えて準備を進めてみてはいかがでしょうか。まずは情報収集からスタートしてみましょう。
5. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。
5.1 年金の主な種類と仕組みは?
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。
5.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?
年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。
例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。
5.3 年金を増やす方法はあるのか?
年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。
また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。
さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。
参考資料
- 首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」(2024年6月21日)
- 厚生労働省「生活設計と年金に関する世論調査(主な調査結果)」
- 厚生労働省「保険料(税)の特別徴収」
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」
- 厚生労働省「高齢期における年金制度」2023年10月24日
- 豊中市「公的年金からの特別徴収額が10月から急に高くなったのはなぜですか」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
堀江 啓介