【業界経験者だから語れる】新築マンション販売のウラ話

きれいで新しい、豪華な設備の新築マンション。誰もが一度は憧れを持ち、購入したいと思うことでしょう。

しかし、一歩立ち止まって考えて見てください。人生で一番高い買い物をするわけなので、情報収集を徹底的に行なった上でも遅くはありません。

この記事では「新築マンションを購入したい!」と決めている方や「新築マンションを購入するべきか、中古マンションを購入するべきか」悩んでいる方にとって、ぜひ知っておいていただきたい「新築マンション販売の裏話」をご紹介します。

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新築マンション業界の慣例とは

新築マンションの広告で、「価格未定」という記載を見た経験のある方は多いのではないでしょうか? 新築マンション業界では、販売当初に価格未定の状況でお客様を呼び始めるのが慣例となっています。

中古マンションの売買では、売主が売り出し価格を決めてからお客様のご案内をします。最終的な中古マンションの成約価格は値引き交渉によってその売り出し価格以下となります。

賃貸においても、家賃を決めてお客様をご案内します。新築マンション業界だけは、価格未定の状況でお客様のご案内をする「特異な業界」といえるのです(新築マンションも値引きは可能です)。

新築マンションでは、販売当初が価格未定の時期となります。この時期は、デベロッパーが「事前案内会開催」と告知し、モデルルームにお客様を呼び込みます。こうした「事前案内会」は、デベロッパーが販売するマンションに『この土地に、こういう企画のマンションを作ります』とお客様にご案内する期間に行われます。

この期間中にデベロッパーが最も気にしていることは、この「新築マンションが一体いくらで売れる」かです。デベロッパーは事業として新築マンションを販売するため、可能な限り利益を追求していくのが基本スタンスです。事前案内会から6週間程度かけて呼び込んだお客様の声を聞きながら売れる上限価格を見極めて決定し、最初の販売(これを“第1期”といいます)をしていきます。

新築マンションが青田売りされる理由とは

新築マンション販売は「青田売り」が基本です。「青田売り」とは、マンションの完成前にモデルルームにて販売する手法のことです。ちなみに青田売りされる時期は、マンションが完成する1年程度前から、というのが一般的です。

そもそも、なぜ新築マンションは青田売りをするのかと疑問をお持ちの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。それには、デベロッパーの新築マンション事業における事業スキーム(資金回収)が深く関係しています。

新築マンション事業には数十億、事業規模によっては数百億単位のお金がかかります。そのため、デベロッパーは金融機関から融資をしてもらわなければ事業をすることができません。

一方、新築マンション事業でデベロッパーが資金回収できるタイミングはマンションの引き渡しの時となります。デベロッパーは融資してもらったお金の利息負担を軽減するためにも、マンションの引き渡し時に可能な限り融資金を返しておきたい、ということで青田売りをしているのです。

このようなデベロッパーの事情で青田売りはされているわけですが、モデルルームを作るのにも多額のお金がかかるため、多くの場合、モデルルームは小〜中規模(50~100戸台)で1タイプ、大規模(200戸超)で2~3タイプしか用意されません。

つまり、ほとんどのケースでは自分が購入したい部屋は売買契約のタイミングでは確認できないということになります。このため、購入した部屋を確認するには、引き渡し前の内覧のタイミング(引き渡しの1カ月程度前)まで待たなければなりません。

新築マンションには最新設備が備えられ、居住者同士のコミュニティも新たに作られるという良さがあります。しかし、売買契約前に購入する部屋を確実に現地で見て確認できる中古マンションと比べた場合、どちらが良いでしょうか。

これからマンションを購入される方には良くお考えいただきたいところです。

モデルルームはオプションだらけ

新築マンション販売の青田売りは上述の通りですが、その青田売りで用意されている「数少ないモデルルームがオプションだらけ」なのをご存じでしょうか?

モデルルームを見学後、結局何が標準(※)の間取り・設備仕様だったのかよくわからなかったという経験をお持ちの方も多いことでしょう。
※標準とはパンフレット・図面集に記載されている間取り・設備仕様のことです。

なのになぜ、デベロッパーはモデルルームをオプションだらけにするでしょうか?

それは、数少ないモデルルームで「全戸を完売させなければならないから」です。

新築マンション販売では、モデルルームが販売上の最大のプレゼンテーションの場であり、モデルルームを気に入ってもらえるかがお客様に契約してもらえるかどうかの分かれ道といっても過言ではありません。ですから、お客様に「このマンション自体を買いたい、欲しい」という気持ちになってもらうため、デベロッパーはオプションだらけのモデルルームを用意しているのです。

さらに大規模マンションのモデルルームになると、シアターやジオラマを用意し、モデルルームを見学する前のお客様に見せ、高揚感を煽った上でモデルルームを案内します。「このマンションは良い」と思った上でモデルルームを見てもらえれば、モデルルームのオプション効果はより高いものになるからです。

新築マンションのモデルルームはきれいで夢はありますが、くれぐれもマンション自体、そして購入される部屋自体がどのようなものになるかといった点を見落とさないようにご注意ください。

モデルルームの商談スペースを個室にする理由

新築マンションのモデルルーム見学された方の中には、モデルルームの商談スペースが個室であった経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。個室の商談スペースをどう感じられたでしょうか? 「高級感があっていい」「プラバシー性が高くていい」と感じられたでしょうか?

もちろんデベロッパーも「高級感」や「プライバシー性の高さ」は意識していますが、個室の商談スペースを用意するのにはもう1つの理由があるのです。それは、「販売中盤から後半にかけた閑散期にお客様が少ないのを隠すことができる」ということです。

新築マンションの販売当初は、多くのお客様がモデルルームへお越しになられますが、販売中盤から後半にかけてはお客様の数が少なくなります。販売当初だけで考えれば、個室の商談スペースよりもオープンな商談スペースの方が、すぐ隣の席で申込していたり、契約をしていたりするため、煽り効果は高いといえます。

しかし、販売中盤から後半にかけお客様が少なくなってくると、オープンな商談スペースではモデルルーム内が閑散としてしまい、お客様に「不人気物件」というイメージを持たれてしまいます。不人気物件のイメージを持ったお客様が果たしてそのマンションを購入するでしょうか? 答えは当然「ノー」です。

つまり、お客様が少なくなる販売中盤から後半にかけ、不人気物件というイメージをお客様に与えずに、粛々と販売を進めるため、デベロッパーは閑散とした雰囲気にならない個室の商談スペースを用意するのです。

モデルルームの雰囲気に惑わされず、「本当に人気物件なのか」「本当に売れているのか」を確認するためにも、行く曜日や時間を変更して、複数回にわたって訪問してみることをお勧めします。気に入った物件であればなおさらです。

新築マンションの専有面積はどう変化しているか

現在の新築マンション価格は、バブル期と同水準まで上昇しているとのニュースを耳にしたことのある方は多いのではないでしょうか?

新築マンション価格の大幅な上昇は、建築費の上昇だけではなく、デベロッパー同士のマンション用地取得の競争激化で土地の仕入価格も上昇しているためです。

大幅な価格上昇により、新築マンション市況は好不調の目安と言われる「契約率70%」を下回って推移しています。このような市況の中、これ以上販売価格を上げると売れないということはデベロッパーもわかっています。では、価格上昇時代に新築マンションを売るためにデベロッパーは何をするでしょうか。

デベロッパーは、「専有面積を小さくし販売価格を抑える」のです。3LDKといえば70㎡をイメージされると思います。しかし、新築マンション価格の上昇にともない数年前より3LDKの専有面積は70㎡から67~68㎡が主力となり、現在では62~63㎡と、さらに一回り小さい専有面積が主力になりつつあります。

たとえば、平米あたり100万円の新築マンションであった場合、70㎡は7,000万円ですが、67~68㎡ですと6,700~6,800万円となり、さらにもう一回り小さい62~63㎡では6,200〜6,300万円となります。70㎡の部屋との販売価格差は700~800万円と大きな差となります。平米10万円上昇しても、62〜63㎡であれば見た目の販売価格は変わらないということになります。

しかし、単純に面積を小さくし居住空間が狭く感じるようなものでは売れませんので、62~63㎡と面積を小さくしつつもリビング・ダイニングは約10帖、洋室(1)は約6帖、洋室(2)・(3)は各約5帖を確保していることがほとんどです。面積を小さくした分のしわ寄せは水回り(キッチン・浴室)の住設機器サイズが70㎡よりも一回り小さいサイズのものになっている点には注意が必要です。

このように、現在の新築マンションは、面積を小さくすることで見た目の販売価格は価格上昇分を吸収しています。モデルルーム見学の際には、営業マンに「70㎡も必要ない」「62~63㎡が効率の間取り」という説明を受けるかもしれませんが、中古マンションのように、予算内に収まり、かつ面積は広い方がゆったりと生活できることはいうまでもありません。

おわりに

住宅購入は、楽しく、夢が溢れるイベントです。しかし、ほとんどの住宅購入者の方が住宅ローンを組むということを考えると、購入の失敗は避けたいものです。楽しいと感じている時こそ厳しい目で見極めることが重要です。

中古マンションにも、新築マンションにはない魅力がたくさんあります。ぜひ比較して検討してみてはいかがでしょうか。

マンションジャーナル

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