新年度を迎える春は、家計や将来設計を見直す絶好のタイミングです。

物価上昇が続くなか、「老後資金はいくらあれば安心なのか」「自分の貯蓄は足りているのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

実際、貯蓄額は平均だけでなく中央値を見ることで“リアルな水準”が見えてきます。

本記事では、40代から70代までの世帯別データをもとに、現状を客観的に把握するとともに、「老後に不安を感じる人」と「安心している人」の違いを整理します。

今後の資産形成のヒントとして参考にしてください。

1. 【単身世帯の貯蓄事情】40代~70代の平均と中央値を年代別に比較

まずは、金融経済教育推進機構が実施した「2025年家計の金融行動に関する世論調査」で、ひとり暮らし世帯の貯蓄額の実態を見ていきます。

平均貯蓄額

平均貯蓄額

出所:金融経済教育推進機構「2025年家計の金融行動に関する世論調査」をもとにLIMO編集部作成

 

1.1 【40歳代・単身世帯】平均貯蓄額と中央値をチェック

  • 金融資産非保有:32.1%
  • 100万円未満:15.1%
  • 100~200万円未満:7.1%
  • 200~300万円未満:5.9%
  • 300~400万円未満:4.3%
  • 400~500万円未満:2.2%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:4.6%
  • 1000~1500万円未満:6.2%
  • 1500~2000万円未満:1.2%
  • 2000~3000万円未満:2.8%
  • 3000万円以上:9.9%
  • 無回答:2.5%
  • 平均:859万円
  • 中央値:100万円

40歳代では、平均貯蓄額が859万円である一方、中央値は100万円にとどまっており、数値の開きが大きい点が特徴です。

金額帯別に見ると、金融資産を保有していない人や、貯蓄が100万円未満の人も一定数存在しています。

1.2 【50歳代・単身世帯】平均貯蓄額と中央値をチェック

  • 金融資産非保有:35.2%
  • 100万円未満:10.1%
  • 100~200万円未満:7.4%
  • 200~300万円未満:4.6%
  • 300~400万円未満:2.7%
  • 400~500万円未満:3.3%
  • 500~700万円未満:4.9%
  • 700~1000万円未満:4.6%
  • 1000~1500万円未満:6.0%
  • 1500~2000万円未満:3.3%
  • 2000~3000万円未満:5.5%
  • 3000万円以上:10.4%
  • 無回答:1.9%
  • 平均:999万円
  • 中央値:120万円

50歳代では平均が1000万円近くまで増える一方で、中央値は120万円にとどまっています。

では、老後を迎える60~70歳代では、貯蓄額はどのような状況になっているのでしょうか。

1.3 【60歳代・単身世帯】平均貯蓄額と中央値をチェック

  • 平均:1364万円
  • 中央値:300万円

1.4 【70歳代・単身世帯】平均貯蓄額と中央値をチェック

  • 平均:1489万円
  • 中央値:500万円

60~70歳代では、平均貯蓄額が1300万~1400万円程度となり、中央値も300万~500万円まで上昇しています。

退職金や相続による資産の影響で数値が押し上げられていると考えられる一方、実際には世帯ごとの差が大きく、ばらつきが目立つ結果となっています。

2. 【二人以上世帯の貯蓄】年代別に見る平均額と中央値の違い

続いて、金融経済教育推進機構の同資料より二人以上世帯についても見てみましょう。

平均貯蓄額

平均貯蓄額

出所:金融経済教育推進機構「2025年家計の金融行動に関する世論調査」をもとにLIMO編集部作成

 

2.1 【40歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額と中央値をチェック

  • 金融資産非保有:18.8%
  • 100万円未満:10.0%
  • 100~200万円未満:6.2%
  • 200~300万円未満:5.1%
  • 300~400万円未満:4.4%
  • 400~500万円未満:2.6%
  • 500~700万円未満:7.3%
  • 700~1000万円未満:6.1%
  • 1000~1500万円未満:9.7%
  • 1500~2000万円未満:6.5%
  • 2000~3000万円未満:8.2%
  • 3000万円以上:13.1%
  • 無回答:2.1%
  • 平均:1486万円
  • 中央値:500万円

子どもがいる世帯では、住宅費や教育費、養育費といった支出が重なる時期であるにもかかわらず、平均貯蓄額は1500万円前後、中央値は500万円という結果となっています。

2.2 【50歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額と中央値をチェック

  • 金融資産非保有:18.2%
  • 100万円未満:6.5%
  • 100~200万円未満:6.4%
  • 200~300万円未満:4.1%
  • 300~400万円未満:3.5%
  • 400~500万円未満:2.2%
  • 500~700万円未満:6.7%
  • 700~1000万円未満:7.7%
  • 1000~1500万円未満:9.3%
  • 1500~2000万円未満:6.1%
  • 2000~3000万円未満:8.1%
  • 3000万円以上:18.8%
  • 無回答:2.2%
  • 平均:1908万円
  • 中央値:700万円

50歳代では、平均貯蓄額が2000万円に迫り、中央値も700万円まで上昇しています。

一方で、貯蓄が100万円未満にとどまる人が約2割を占めている点も見逃せません。

2.3 【60歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額と中央値をチェック

  • 平均:2683万円
  • 中央値:1400万円

2.4 【70歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額と中央値をチェック

  • 平均:2416万円
  • 中央値:1178万円

60~70歳代では、平均貯蓄額が2000万円を上回り、中央値も1000万円を超える水準となっています。

3. 「老後の安心度を分ける3つの差|不安な人と余裕がある人の違い

では、老後資金に対して不安を抱く人と、安心して考えられる人とでは、どのような点に違いがあるのでしょうか。

3.1 1:老後いくら必要かわかっているか、わかっていないか

老後に不安を抱きやすい人には、「将来の生活費はいくら必要なのか」「公的年金はいくら受け取れるのか」「自分にとって十分な老後資金はいくらなのか」といった点がはっきりしていないケースが多く見られます。

現状を把握せず、具体的な対策を立てていないことが、不安につながっているといえるでしょう。

老後の生活費を試算したり、ねんきんネットなどを活用して将来の年金受給見込み額を確認したりすることが第一歩です。

そのうえで、必要となる老後資金を整理し、どの程度の金額を、どのくらいのペースで、どの金融商品を使って準備していくのかを具体的に考えていくことが重要です。

3.2 2:「お金が貯まる仕組み」を利用しているか、していないか

貯蓄を気持ちや意思だけに任せていると、継続が難しくなり、月ごとの貯蓄額にばらつきが出やすくなります。

そこで有効なのが、給料が入ったタイミングで先に貯蓄分を確保し、残ったお金で生活する「先取り貯蓄」という方法です。

金融機関の中には、毎月自動で積み立てができるサービスを提供しているところもあるため、一度確認してみるとよいでしょう。

3.3 3:老後に向けてお金や働き方、暮らしを考えて見直しているか、いないか

老後への備え方は一つではありません。

資金面で準備を進めることも重要ですが、将来どのような暮らしを送りたいのかを考えることも欠かせません。

住まいや生活スタイルを見直すことで、固定費を抑えられる場合もあります。

50歳代に入ったら、生活規模を少しずつ調整することを検討してみるのも一案でしょう。

また、働き方についても、現在は60歳代以降も働く人が増え、選択肢は以前より幅広くなっています。

人生100年時代といわれる今、短期的ではなく長期的な視点でキャリアを捉え、収入を確保する手段について考えておくことが大切です。

4. 老後資金の現実と対策|平均・中央値を踏まえた今後の備え方

平均貯蓄額は一部の高額資産層に引き上げられるため、実態を把握するには中央値の確認が欠かせません。

多くの世帯では「思ったより貯蓄が少ない」という現実に直面するケースもあり、特に単身世帯では老後資金の準備が課題となりやすい傾向があります。

一方で、老後に安心感を持てている人は、早い段階から必要額を把握し、積立投資や制度を活用しながら計画的に資産形成を進めている人もいるでしょう。

春は新しいスタートの季節であり、家計の見直しや資産計画を始める絶好のタイミングです。まずは自分の貯蓄額を平均・中央値と比較し、現状を正しく把握しましょう。

そのうえで、積立投資や支出の見直しなど、できることから一歩ずつ行動することが重要です。将来の安心は、早めの確認と準備から始まります。

参考資料