3.3 1カ月の平均的な収支
平均ベースでは、毎月の赤字額が3万7916円となりました。
約4万円ということですから、家庭によっては「やりくりでなんとか黒字にできる」「少しずつ貯蓄を取り崩して対応できる」など捉え方はさまざまです。
ただし、今後の物価の上昇や年金額の目減りなどを加味し、さらに人生100年時代見据えた場合、楽観視はできません。
そもそも平均通りの生活となることはないので、家庭ごとの「年金額」「貯蓄額」「生活費」をできるだけ詳細に把握しましょう。
4. まとめにかえて
今回は、データをもとに老後資金の備えについて考えていきました。貯蓄がある世帯とそうでない世帯、年金が多い世帯と少ない世帯など、さまざまです。
理想となるセカンドライフを送るためにも、できるだけ早い段階から計画的に準備していくことが大事です。
計画的な貯蓄を始めていくうえで大切なことのひとつは、「健康で働き続けること」ではないでしょうか。
万が一、病気やけがで働くことができなくなった時、今まで通り貯蓄を続けることはできません。
治療費の負担や収入の減少により、将来資金にまで影響が出てきます。必要な将来資金を貯めるためにも、「万が一」の備えはお守りとして持っておいた方がいいでしょう。
ただし、日本は「国民皆保険制度」があるので、民間の保険で過剰に備えておく必要はありません。FPとして相談を受ける中で、見直しできる保険が見つかることもしばしばあります。
保険料などの固定費は家計の大きなウェイトを占めるため、民間と公的な保障バランスをしっかり考えたうえで、自分に必要な保障だけを選び適切に入ることが大切です。
ぜひこの機会に、自分にとって必要な「将来資金額はいくらか」、「必要な保障は何か」を明確にし、思い描いているセカンドライフを実現させましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点」
- 株式会社帝国データバンク「10月の食品値上げ2911品目 年内最大の値上げラッシュ 「酒類・飲料」が1年ぶり1千品目超 ハム・ソーセージで一斉値上げ」
奥田 朝