4. 申請しないともらえない「年金生活者支援給付金」とは
「年金生活者支援給付金」は「老齢年金(国民年金)」「障害年金」「遺族年金」を受給している人のうち、要件を満たした人が年金に上乗せしてもらえる給付金です。
老齢基礎年金を受給されている人には「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金」、障害基礎年金を受給されている人には「障害年金生活者支援給付金」、遺族基礎年金を受給されている人には「遺族年金生活者支援給付金」がそれぞれ給付されます。
今回は「老齢年金生活者支援給付金」について解説します。
4.1 給付金額と対象者
<給付金額>
- 保険料納付済期間に基づく額(月額)= 5310円 × 保険料納付済期間/被保険者月数480月
- 保険料免除期間に基づく額(月額)= 1万1333円 × 保険料免除期間/被保険者月数480月
老齢年金生活者支援給付金は、収入が87万8900円以下の非課税世帯の人に対して支給されます。
<支給要件>
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
- 世帯全員が市町村民税非課税である。
- 前年の年金収入金額とその他の所得の合計が87万8900円以下である※障害年金・遺族年金などの非課税収入を除く
※前年の年金収入金額とその他の所得の合計が77万8900円以下の場合、(1)老齢年金生活者支援給付金が支給され、77万8900円を超え87万8900円以下の場合には、(2)補足的老齢年金生活者支援給付金が支給されます。
たとえば昭和31年4月2日以後生まれの方で、納付済月数が240カ月、全額免除月数が60カ月の場合は月額4072円が支給され、年額にすると約5万円が年金に上乗せされます。ただし基準額は個人によって異なるため、一律年額約5万円が支給されるわけではありません。
支給対象となった場合、日本年金機構や年金事務所から書類が送られてくるので、必要事項を記載して提出する必要があります。
給付額が改定された場合は「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」が送られてくるため、こちらも必ず確認しましょう。
5. 将来の年金生活に備えて
ここまで現代シニアの年金受給額や年金の支援給付制度について見てきました。
年金をまだ受け取っていない現役世代にとっては、老後の話といわれてもピンとこないかもしれませんが、老後の資産形成は現役時代からの積み重ねが大切です。
老後資金を準備するためには、目標金額を明確にすることが重要です。そのためにも、まずは「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で将来の年金見込額を確認してみてください。
ちなみに、30歳の方が65歳までに2500万円を貯めたい場合、毎月約5万9523円を貯金する必要があります。
約6万円を積み立てることが可能であれば順調に準備できますが、特に子育て中の方などは、教育資金や他の出費も多く、難しいと感じる方も多いでしょう。
そのような場合には、NISAやiDeCoといった税制優遇制度を活用して資産運用を始めることや、働く期間を延ばすことも一つの選択肢として考えてみるのもよいかもしれません。
※給付金等の具体的な金額や要件などは自治体等によって異なるので、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 厚生労働省・日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」
- 日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 金融庁「鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣繰上げ閣議後記者会見の概要(2024年8月15日)」
- 首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」2024年6月21日
中本 智恵