2.  8月支給と10月支給の年金で「手取り額」が変わる人

8月15日は直近の年金支給日でした。次回の支給日は10月13日(金)です。

例えば後期高齢者医療の保険料の場合、7月に保険料が本決定することが一般的。しかし4月・6月・8月に天引きするお金は、前年の2月と同額になります。

7月に決定された1年間の保険料から、4月・6月・8月に天引きした分を差し引き、残りの10月・12月・2月で等分して納めます。

4月・6月・8月は「仮徴収」、10月・12月・2月は「本徴収」といわれますが、これにより10月からの手取り額が変わることになります。

例えば2021年より2022年の所得が大幅にあがった場合、住民税や保険料はアップします。そのため、天引き額があがり手取り額はさがります。

反対に、2021年より2022年の所得が大幅にさがった場合、8月までの仮徴収でほとんど保険料等を払いきってしまう方もいます。

高齢者の場合、そこまで所得に変動がないと思われるかもしれませんが、株や不動産の売買で一時的に所得が多くなった方は注意が必要です。

【写真1枚目/全3枚】年金振込通知書

年金振込通知書

出所:日本年金機構「年金振込通知書」

手取り額は年金振込通知書で確認している方も多いかと思いますが、6月送付の通知書には仮の金額が記載されているため、実際の天引き額は税金や保険料などの決定通知書で確認するようにしましょう。

3.  厚生年金と国民年金の「額面」は平均でいくらか

では、厚生年金や国民年金の額面は平均でいくらぐらいなのでしょうか。

厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、厚生年金(老齢基礎年金を含む)の支給額平均が月額14万3965円でした。男性が16万3380円、女性が10万4686円です。

厚生年金保険(第1号)年金月額階級別受給権者数(男女計)

厚生年金保険(第1号)年金月額階級別受給権者数(男女計)

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

厚生年金とは公的年金の2階部分に位置する公的年金で、公務員や会社員などの第2号被保険者が加入します。

それ以外の第1号被保険者と第3号被保険者は、1階部分である国民年金から老齢基礎年金を受給します。

同資料によると、国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は5万6368円。男性が5万9013円、女性が5万4346円でした。

国民年金保険年金月額階級別受給権者数(男女計)

国民年金保険年金月額階級別受給権者数(男女計)

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

年金が少ない場合は税金が課税されないものの、介護保険料や後期高齢者医療保険料などは天引きされる可能性が高いです。

この額面からさらに天引きされるとなると、不安になる方もいるのではないでしょうか。

実際、厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査の概況」によると、「公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%」の世帯はたった44.0%でした。

つまり残りの56.0%は、稼働所得や財産所得、仕送りや個人年金などで補填しているのです。