記録的な大雨や暴風をもたらした台風10号。ゆっくりとしたスピードで縦断したことから、全国各地に深刻な被害を与えました。

こうした災害時に知っておきたいのが、銀行で受けられる特例についてです。

台風や地震などの大きな災害が発生した際、銀行では被災者に対してきめ細やかな対応を行うためにいくつかの特例措置が取られます。

この記事では、元銀行員の筆者が災害時における銀行での特例措置について解説します。

1. 災害救助法が適用された地域には特例対応が取られる

台風や津波、地震など大きな災害が発生し、一定の被害が想定される場合は「災害救助法」が適用されます。

災害時は、住居や食事、医療などさまざまな場面で困難が発生しますが、金銭的な悩みを抱える被災者も少なくありません。

そこで、銀行では災害救助法が適用されると、いくつかの特例措置が実施されます。

具体的にどのような特例が受けられるのか、くわしく紹介していきましょう。

2. 特例(1)通帳や印鑑がなくても払い戻しが受けられる

通帳や印鑑がなくても払い戻しが受けられる2/3

通帳と印鑑の写真

akiyoko/shutterstock.com

災害救助法による特例措置が取られると、銀行窓口では通帳や印鑑がない場合でも出金手続きが行えるようになります。

被災状況によっては、「自宅が被害を受けて通帳や印鑑がどこにあるか分からない」、「避難する際に通帳を持ってこられなかった」というケースも想定されるでしょう。

通常、預金口座からの引き出しは通帳やキャッシュカード、届出印が必要となりますが、災害時は一定の本人確認を行うことで出金が行えるようになります。

もし「現金を引き出したいけど、通帳も印鑑も手元にない」という場合は、まず銀行の窓口に相談してみましょう。

ただし、金融機関によっては、引き出しの上限額が定められている場合もありますので注意が必要です。

例)通帳・証書等や印章をなくされた被災者の貯金等の非常取扱い等3/3

通帳・証書等や印章をなくされた被災者の貯金等の非常取扱い等

出所:ゆうちょ銀行「通帳・証書等や印章をなくされた被災者の貯金等の非常取扱い等」

3. 特例(2)満期前の定期預金を解約できる

災害時の特例措置では、普通預金だけでなく満期を迎える前の定期預金の中途解約にも対応しています。

一般的に、定期預金は中途解約が原則不可とされていますが、被災時は当面の生活費や自宅の修繕などでまとまったお金が必要となることもあるでしょう。

この場合、銀行の窓口で手続きを行うことで、中途解約に応じてもらうことが可能です。

先ほどのケースと同様に、「定期預金証書を紛失してしまった」といった場合も柔軟に対応してもらえる可能性があるので、まずは窓口へ相談してみることがおすすめです。

4. 特例(3)被災で汚れた紙幣を引き換えてもらえる

被災状況によっては、「自宅で保管していた紙幣が汚れてしまった」というケースも多く見られます。

泥がついたり、水で濡れたりした紙幣を見ると、「もうお金として使えないかもしれない」と不安になるかもしれません。

しかし、被災によって汚れた紙幣は、銀行窓口で交換してもらうことができます。

もちろん、紙幣だけでなく硬貨についても引き換えてもらえますので、お金が損傷してしまった場合でも慌てずに銀行窓口に持参してみましょう。

5. 特例(4)特別金利で借入ができる

災害によって被害を受けたときは、自宅の再建や修繕、家具・家電の買い替え、一時的な避難先での費用などまとまったお金が必要となるケースが多くあります。

また、失業や休業によって収入が減少してしまうこともあるでしょう。

銀行によっては、こうした被災者への特例措置として、特別金利でのローン商品を提供しています。住宅ローンやフリーローンなどを通常よりも低い金利で借入できる措置で、利息の負担を軽減しながら資金調達を行うことが可能です。

また、こうした特別措置では、一般的に「罹災証明書」の提出が求められます。

しかし、「罹災証明書の請求が殺到している」など、交付までに時間がかかるケースも少なくありません。

こうした役所での交付状況によっては、後日の提出が認められるケースもありますので、くわしくは窓口で対応を相談してみましょう。

5.1 既に借り入れているローンの返済についても相談できる

既に銀行から住宅ローンなどを借り入れている場合、被災によって返済が困難になるケースもあるかもしれません。

災害救助法が適用された被災者は「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の対象にもなりますので、銀行窓口で返済に関する相談を行うことが可能です。

被災状況によっては返済が猶予されたり、減額が認められたりすることもあるため、返済に不安を感じている人は、まずは借入先の金融機関に相談を行うとよいでしょう。

6. まずは銀行窓口で相談してみよう

台風や津波、地震など災害が起きると、金銭面でも大きな不安を抱えることとなります。

しかし、銀行では災害が発生すると、預金の引き出しからローン商品の提供まで幅広い特例措置が取られます。

被災者に寄り添ったきめ細やかな対応を行っていますので、何か不安な点や困ったことがあれば、1人で悩みを抱えずにぜひ銀行窓口へ相談してみることがおすすめです。

参考資料