7. 年齢によって「住民税非課税世帯」の割合はどれくらい違う?
ここからは、年代別に「どれくらいの人が住民税非課税世帯に該当しているのか」を見ていきましょう。
厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」によると、住民税非課税世帯の割合は年齢により大きく異なります。
- 29歳以下:32.7%
- 30歳代:11.9%
- 40歳代:10.0%
- 50歳代:13.5%
- 60歳代:21.6%
- 70歳代:35.8%
- 80歳代:52.5%
- 65歳以上:38.1%
- 75歳以上:49.0%
住民税非課税世帯の割合は、65歳以上で38.1%、75歳以上になると49.0%となっています。
さらに、住民税非課税世帯の中で「年代別の割合」を見てみると、70〜79歳が35.8%、80歳代以上が52.5%となっています。
つまり、住民税非課税世帯に占める、高齢者の割合が多いのです。
定年退職を迎え年金生活がスタートするシニア世代は、収入が大きく減る傾向にあります。
そのため、住民税非課税の基準となる「所得45万円」に該当しやすくなると考えられます。
こうした住民税非課税世帯に向けて、10万円の給付が行われているのです。
8. まとめにかえて
本記事では、政府が検討している年金生活世帯や低所得者世帯を支援するための追加給付金や、現在進行中の10万円給付金の対象世帯について確認してきました。
政府は、秋に策定することを目指す経済対策の一環として「物価高の中で食費の高騰などに苦しんでおられる年金(生活)世帯や低所得者世帯を対象として、追加の給付金で支援することを検討いたします。」としています。
この追加の給付金について、政府は検討中であるため、詳細の発表が待たれている状況です。
それとは別に、現在進行中の「10万円の給付金」は2023年度の政策によるもので、対象となるのは「2024年度に新たに個人住民税非課税世帯となり、定額減税の対象外となった世帯」です。
ただし、個人住民税が非課税であったとしても、10万円の支給対象とならない世帯もあるため支給条件を確認しましょう。
また、「10万円の給付金」の支給対象となっているのに、市外(海外含む)から転入した世帯や、住民税の修正申告等により2024年度分の住民税が非課税または均等割のみ課税になった世帯などは、「支給のお知らせ」または「申請書」が届かないケースもあります。
その場合、申請等の手続きが必要となるため、各自治体へお問い合わせください。
今回の給付金の支給対象ではない世帯であったとしても、物価上昇の影響により生活に負担が生じている方は多いのではないでしょうか。
今の生活に向き合うだけで精一杯という方も多くいらっしゃいますが、少子高齢化や物価上昇が続く可能性が高い傾向にあり、年金だけで老後を過ごすのは厳しい状況にあります。
家計を見直したり、受給予定の年金を確認したりするなどして、将来や老後に向けて少しずつでも準備を進めていけるとよいですね。
※金額や要件などは自治体等によって異なるため、個別のご相談・お問い合わせにはお答えできかねます。金額や要件などについてのご質問は、お住まいの自治体等にお問い合わせください。
参考資料
- 東京都主税局「個人住民税(税金の種類)」
- 総務省「個人住民税」
- 首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」2024年6月21日
- 港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。」
- 大阪市「個人市・府民税が課税されない方」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」
- 自民党「第213回通常国会閉会にあたって岸田内閣総理大臣記者会見(全文)」2024年6月21日
- 首相官邸「政府与党連絡会議」2024年年7月3日
- 資源エネルギー庁「電気・ガス料金支援」
- 内閣官房「定額減税・各種給付の詳細」
- 名古屋市「令和6年度 夏の緊急支援給付金」
- 内閣官房「よくあるご質問 給付金の支給時期はいつになりますか。」
西村 翼