日本年金機構によると、2024年度の国民年金給付額(月額)は満額で6万8000円となっています。
月額で6万8000円なので、年額では81万6000円です。
ただし、公的年金もその所得額に応じて税金などが課されます。
実際のところ、国民年金の給付額が満額で月額6万8000円という方は、手取りでどのくらいの額の給付を受け取ることができるのでしょうか。
1. 年金から差し引かれるもの
年金支給時に、年金から差し引かれるものには以下のようなものがあります。
- 所得税
- 住民税
- 介護保険料
- 国民健康保険料
- 後期高齢者医療保険料
それぞれ見ていきましょう。
1.1 所得税
国民年金など公的年金も所得として計上され、所得額に応じて所得税が課されます。
公的年金は、所得のうち雑所得として計上されますが、65歳未満の方は年間60万円以下、65歳以上の方は年間110万円以下は非課税となります。
また、所得税を計算する際には48万円の基礎控除を受けることができるため、以下の所得以下であれば所得税や住民税は課税されません。
- 65歳未満:108万円
- 65歳以上:158万円
このため、所得が国民年金の満額である月額6万8000円、年額81万6000円のみであれば、年齢に限らず所得税は課されないこととなります。
1.2 住民税
住民税には「所得割」と「均等割」があります。
このうち、「所得割」については所得税の計算結果に基づくため、所得税と同様に、国民年金の満額のみであれば、所得割部分については課されません。
一方、均等割は住民税の課税対象となる人が均等に納付する必要があるもので、具体的な納付額は自治体により多少変動します。
なお、東京都の場合の均等割の額は以下の通りです。
- 1000円(個人都民税)+3000円(個人区市町村民税)+1000円(森林環境税)=5000円
- 5000円/12カ月=月額で416円
ちなみに、住民税の均等割は以下の条件を満たす方は非課税となります。
2. 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
3. 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合
45万円以下
国民年金を満額で81万6000円を受け取っている方は、上記条件を満たさないため、均等割分を納税しなければなりません。
3.1 介護保険料
介護保険料は、65歳以上で年金の年間受給額が18万円以上の方が納付対象となります。
このため、国民年金を満額で受け取る方は基本的に介護保険料を納付しなければなりません。
実際の保険料の額は自治体により異なります。
例えば、東京都の場合は第9期(2024年度~2026年度)の保険料の平均は6320円/月です。
実際の介護保険料については、お住まいの自治体や、ご家族の所得などによっても異なるため、各自治体のホームぺージなどでご確認ください。
3.2 国民健康保険料
国民健康保険料も、介護保険料と同様に年金の年間受給額が18万円以上の方が納付対象です。
国民健康保険料の額は、「医療分」「支援金分」「介護分」の合計により算出しますが、具体的な額はお住まいの自治体により異なります。
例えば、東京都新宿区の2024年度の保険料は以下の通りです。
早見表によると、国民年金を満額で受け取る場合の年額81万6,000円の場合、年金収入50~100万円の保険料の額が5467円(65歳未満は6842円)となっています。
3.3 後期高齢者医療保険料
後期高齢者医療保険料も、介護保険料と同様に年金の年間受給額が18万円以上の方は納付対象です。
後期高齢者医療保険料は均等に負担する必要のある「均等割」と所得に応じて負担する「所得割」があります。
具体的な保険料の額はお住まいの自治体により異なりますが、東京都新宿区の場合の2024年度の保険料は「均等割額」が4万7300円/年、「所得割率」は所得に対して9.67%、「賦課限度額(上限)」は80万円です。
東京都における後期高齢者医療保険料は「東京都後期高齢者医療広域連合:保険料試算用シート(令和6年度分)」で収入額を入力することでシミュレーションできます。
上記サイトで国民年金を満額で受け取り、他に収入がない場合の保険料は1万4100円/年です。(月額:1万4100円/12カ月=1175円)
4. 国民年金を満額受け取れる方の手取り額
これまでの内容をまとめると、東京都新宿区に住まれている方の月額の国民年金の手取り額は以下のように計算できます。
国民年金を満額受け取れる方の手取り額6/6
筆者作成
※上記の額はいずれもシミュレーションなどを活用した概算となります。実際の税金や保険料については税務署や自治体の窓口にご相談ください。
5. まとめにかえて
国民年金について、満額受け取れる方の支給額から税金、各種保険料を差し引いた後の手取り額をご紹介しました。
国民年金などの公的年金にも所得税や各種保険料が課されます。
老後の生活を考えるにあたり、実際の手取り額はどのくらいになるのかあらかじめ把握しておくことが大切です。
なお、本記事では東京都新宿区を例としてご紹介していますが、実際の額はお住まいのエリアや、ご家族の状況によっても異なります。
本記事の内容を参考にしつつ、具体的な額を計算する際には、税務署や自治体などの窓口か、税理士などの専門家にご相談ください。
参考資料
- 東京都 都内区市町村の第9期(令和6年度~令和8年度)介護保険料について
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 国税庁 「No.1600 公的年金等の課税関係」
- 新宿区「令和6年度 国民健康保険料 概算早見表(給与/年金のみの場合)」
- 東京都後期高齢者医療広域連合:保険料試算用シート(令和6年度分)
逆瀬川 勇造