3. 「第3号被保険者制度」が廃止された場合のシミュレーション:Bさん(第1号被保険者)の場合
同じように夫と一緒に自営業で働いているBさんは、月収が8万8000円とした場合、健康保険は夫の世帯として、夫が払っています。
年金だけで考えると、Bさんの国民年金保険料は2024年度価格で月額1万6980円(年間20万3760円)です。
しかし、Aさんとは違い、年金の1階部分だけで2階部分はなく、65歳から老齢基礎年金81万6000円(2024年度価格)です。
BさんはAさんよりも負担は大きいのですが、もらえる年金は少ないのです。
4. まとめにかえて
1961年4月に国民年金制度が始まった当時は専業主婦(主夫)の方は、国民年金の加入は任意でした。
1986年4月に20歳以上60歳未満の方は専業主婦(主夫)の方も加入することとなり、国民年金保険料を納付しなくても「届出」をすることで、納付済期間となりました。
不公平感などもあり、国民年金の第3号被保険者に対して「廃止」「縮小」などの意見もあるかと思います。
もちろん、子育てや介護をしており働くことができない方や、短時間の労働で少ない収入の中で保険料を納めることができない方もいるでしょう。
すべての人が納得できるような着地点は難しいかもしれませんが、しっかりと議論していただきたいと思います。
なお、社会保険の加入要件は、特定適用事業所に勤める、次の要件の全てを満たした方です。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 所定内賃金が8万8000円以上
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
2024年10月からは社会保険の適用拡大となります。
こうした社会保険の制度について変更が予定されているものは、政府の動きを日頃からチェックするといいでしょう。
参考資料
- 協会けんぽ「令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」
- 東京都北区「保険料の試算と計算方法(国民健康保険)」
- 厚生労働省「令和6年度の雇用保険料率について」
- 厚生労働省「社会保険適用拡大サイト」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
香月 和政