8月は2ヶ月ぶりの年金支給月でした。
年金が毎月の生活費の大部分を占める年金生活者の方も多いでしょう。
年金が支給される際、支給額から社会保険や税金が天引きされています。
支給金額が額面金額と差異があることに疑問を感じた方も多いのではないでしょうか。
年金の支給には会社勤めで給与を受け取っていた頃と同様に、天引きという「落とし穴」があることを知っておきましょう。
この記事では国民年金・厚生年金で気をつけたいポイントを3つ紹介します。
また、繰下げ受給の仕組みについても紹介しているので、検討している方は参考にしてください。
1. 【年金の落とし穴:1】年金は「額面どおり」振り込まれない
年金は額面どおりに振り込まれず、天引きされた金額が振り込まれます。
年金から天引きされるお金は4種類です。
- 個人住民税
- 所得税および復興特別所得税
- 介護保険料
- 健康保険料
それぞれの内容を次の章で見ていきましょう。
1.1 年金からの天引き1:個人住民税
住民税は前年の所得に対して課税されます。
一定の条件を満たした際、年金からの天引きで納付します。
ただし、住民税は一定額の収入に達しなければ非課税となるため、納付義務が発生しません。
1.2 年金からの天引き2:所得税および復興特別所得税
年金収入が一定以上になると所得税が発生し、年金からの天引きで納付します。
「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」により、所得税を徴収される時に復興特別所得税もかかります。
ただし、遺族年金や障害年金を受給する場合には非課税です。
1.3 年金からの天引き3:介護保険料
介護保険料は40歳から発生する支払義務です。
65歳以降は健康保険と切り離して単体で納付しますが、年金から天引きされる方は年間の支給額が18万円以上からになります。
高齢化社会が進む中で介護保険制度の運営は厳しくなっており、今後の保険料負担は高くなるでしょう。
介護状態になり介護サービスを受けていても、介護保険料の支払いは一生継続します。
1.4 年金からの天引き4:健康保険料
国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料も、原則年金からの天引きで納付します。
この章で紹介した年金から天引きされるお金は最大4種類になり、額面と振込額は一致しないことが一般的であるとわかるでしょう。
次の章では「天引きされるお金」が増額する可能性について詳しくみていきましょう。
2. 【年金の落とし穴:2】「天引きされるお金」は増える可能性もある
年金から天引きされるお金のうち、今後も負担が増える可能性が高いお金は健康保険料や介護保険料です。
例えば介護保険料は、直近20年で保険料が2倍以上になりました。
少子高齢化の現代において、要介護認定は増える一方であると考えられます。
今後も、財源が追いつかない形の保険料上昇は継続する可能性も考えられるでしょう。
高齢化社会の影響を考慮すると、社会保障では改革が急務といえるかもしれません。
3. 【年金の落とし穴:3】年金振込額が「10月」から変わる人もいる
年金から天引きされる税金や保険料の中には、一年度分の金額が10月に本決定されるものもあります。
これらは6月に決定された前年度の所得をもとに、一年度分の金額を正式に決定するケースが一般的です。
では、8月までの年金はどのような仕組みで天引きされているのでしょうか。
たとえば介護保険料では、8月の年金天引き額は平準化により仮徴収額が変更になっている場合があります。
4月から当該年度の税金・保険料支払いが始まっていると思ってしまいがちですが、実際は異なる時期に計算・確定されるため注意が必要です。
※自治体によっては8月を本徴収の開始としているところもあります。スケジュールや実際の振込額については、個別にご確認ください。
その他、年の途中で65歳を迎えた方なども、天引き開始によって振込額が変わるケースがあります。
4. 【年金の落とし穴:4】繰下げ受給で意識したいポイント
繰下げ受給とは年金を65歳以降75歳以下の間に繰下げて受給開始することで年金支給額を増やせる制度です。
しかし、年金増加により繰下げ受給した方が、支給額が減る「落とし穴」に陥るケースがあります。
落とし穴の要因は、主に以下の2点です。
- 税金負担の増加
- 社会保険料の上昇
年金収入の増加で課税所得が増えて、所得税や住民税の負担が増加するでしょう。
また、健康保険料や介護保険料などの社会保険料も増加します。
それぞれの金額が天引きされて振り込みされます。
年金収入と他の収入がある場合は総所得で判断されるため、注意が必要です。
繰下げ受給の利用前に受給開始時の収入をシミュレーションすることが重要でしょう。
5. 年金にある「落とし穴」を理解して老後の生活を安定させよう
今回は年金の「落とし穴」について確認してきました。
最大4種類のお金が年金より天引きされ、年金支給額は「額面」の金額と差異がでます。
繰下げ受給は受給開始時期の変更をすることで年金支給額が増加する制度です。
しかし、税金負担や保険料の増加により天引きされるため、年金支給額が繰下げ受給しない方より低くなる可能性があります。
新NISAや不動産などで資産運用して年金と組み合わせた老後資産を形成している方は、準備とともに年金を受給開始する際のシミュレーションを行っておきましょう。
参考資料
荒井 麻友子