2018年6月4日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、株式会社フュートレック2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社フュートレック 代表取締役社長 浦川康孝 氏

会社概要

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浦川康孝氏(以下、浦川):みなさま、こんにちは。フュートレックの浦川でございます。今日は暑い中、また風の強い中、弊社の説明会にお越しいただきまして、ありがとうございました。

これから、2018年3月期決算説明および会社概要、それから(当社の)状況をご説明したいと思います。

最初に商号ですけれども、フュートレックという会社でございます。会社の由来は、「ファン」「ユーズフル」「イージー」なものを「トレック」する。つまり、「簡単で」「楽しく」「易しい」ものを「追いかける」という会社でございます。

設立は、2000年4月17日。本社は、大阪市にございます。新大阪から歩いて10分ぐらいの新大阪プライムタワーでございます。そこには、管理部門と、音声認識の研究開発部門がございます。

ほかにも、神田に東京事業所がございまして、営業部門と、別途ご説明するCRM事業部がございます。ほかには、名古屋事業所。これは、映像展示やインバウンド系の事業をやってございます。福岡(事業所)には、研究開発部門がございます。以上の構成で(事業を)進めております。

代表取締役社長は、昨年(2017年)より、私が務めさせていただいております。資本金は、7億2,476万円でございます。現在の役職員数は、単体が99名、連結が146名です。

連結子会社につきましては(まず)株式会社ATR-Trek。主に、音声認識の研究開発をやっております。ほかには、株式会社スーパーワン。これは、アプリケーションの開発ですとか、教育(関係)の電子出版等の開発を行っております。

メディアジャパン株式会社および、メディアジャパンエージェンシー株式会社。これはテレビ・映像、CMの枠を取ったりするエージェント系の事業を行っております。現在はこれらの会社で、グループを構成しております。

業務内容に関しましては、音声認識技術を利用したサービスの企画・提案、およびそれを実現するためのシステム等でございます。

沿革

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それでは簡単に、弊社の沿革をご説明させていただきます。

弊社はこれまで、主にNTTドコモさんの事業とともに、成長してきた会社でございます。

設立当初から前半ごろは、NTTドコモさんの(事業である)カタカナで言いますと「ケータイ」、今で言う「ガラケー」の音源チップを提供しておりました。昔は、ネットワークの線も細いものですから、端末側に再生のチップセットがありまして、簡単なデータを送ることによって、着メロなどを鳴らしておりました。

それが、NTTドコモさまで正式に採用されまして、すべてのガラケーに搭載されるようになっております。携帯電話の加入者の増加とともに、端末も増えておりまして、業績もそのまま、端末の製造数とともに伸びておりました。

ただし、携帯電話というのは、だいたいNTTドコモさんで言うと「年間2,000万台の壁」がありました。そこまでは順調に成長したんですけども、そこから先は横ばいという状況が見えておりました。

そのために、次の技術としまして、音声認識に着目いたしました。そこで、国際電気通信基礎研究所(ATR)さまと業務提携を行い、また会社を作ってATRさまの技術を用いて、音声認識(の事業)を始めました。

最初は、携帯電話の簡単なコマンドと言いますか、住所(一覧)の中で、例えば「田中さん」「鈴木さん」で(相手を)呼び出すことなどが、簡単なメールとかで使われていたんです。iPhoneでSiriが出たタイミングで、音声認識が急に広がりました。フュートレック(の技術)も、NTTドコモさんの「しゃべってコンシェル」というサービスに提供されるようになりました。

そこで(もとの)音源チップのビジネスは頭打ちになったんですけれども、新たな成長軌道として、音声認識(のビジネス)を続けてまいりました。さらに、音声認識だけではビジネスが立ち行かなくなりますので、あらためてインバウンドを含めまして、機械翻訳に乗り出すことにしました。

2014年10月に、NTTドコモさま、韓国のシストランラインターナショナル、そしてフュートレックという会社の3社で、機械翻訳の会社(株式会社みらい翻訳)を立ち上げました。

併せまして、人手翻訳のメディア総合研究所を子会社いたしました。その目的の1つに、機械翻訳を高めるためには、対訳データが十分に必要だろうということがありました。それで、メディア総合研究所の翻訳事業部を購入しております。

さらに機械翻訳は、当時はまだ精度がそれほど高くなっておりませんので、機械翻訳でできないものは、人手翻訳のほうでビジネスを拾えるのではなかろうと。併せまして、人手翻訳も機械翻訳を使うことによって、効率化・コスト削減ができるのではないかということもありまして、機械翻訳を進めてまいりました。

さらにその後、2016年にアドホック社(の事業を承継しました)。ここは主に、インバウンドのガイド事業などをやっておりましたので、機械翻訳を含めて、相乗効果があるなというかたちで買収しております。その2016年の8月に、市場第二部へ市場変更いたしました。

その後、また別途ご説明いたしますが、2017年頃から少し後、Google社がディープニューラルネットワークを使って機械翻訳を出されました。かなり性能が良くなり、かつ無償で出されたという経緯がありますので、やはり第5位の機械翻訳は、我々のビジネスでは厳しかろと(考えました)。

一方で、音声認識に関しましては、AI・IoT・車関係もありまして、かなり引き合いが増えてきたこともありました。そのため、再度機械翻訳を手放し、そのリソース・キャッシュをもって、音声認識に再度投入するという判断をいたしました。

以上が、簡単な沿革でございます。

これまでの業績推移(連結)

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これまでの業績推移です。

2011年から2013年までは、順調に立ち上がっております。ここに関しましては、ガラケー、それから音声認識……とくに2013年は、スマートフォンとガラケーに関してダブルで端末が出ていることもありました。

しかしその後、携帯電話の落ち込み(がありました)。また、2015年は端末の販売方式の変更(がありました)。インセンティブをつけてはならないということがありまして、かなり端末台数が落ちております。

このタイミングで、国内の端末メーカーさんもかなり撤退を決めるとか、厳しい状況になっておりました。この状況は、フュートレックでは見えておりましたので、当時の前社長の号令のもと、リビルドという戦略を打ち出して、NTTドコモさまの柱一本から機械翻訳、それからインバウンドを含めて、多くの柱を立ち上げようと進めておりました。

ただ、2016年に関しましては、少し売上が上がっております。これは、今後のスマートフォンの台数などとビジネスがリンクすることを考え、取引先さまとライセンスの変更をいたしました。毎年いただいていたものを一括でいただくかたちにして、利益を上げております。

その後の2017年なのですが、ここでまた、1つの新たな取り組みをいたしました。このタイミングで、NTTドコモの持株研究所さまの音声認識とフュートレックで連携して、ビジネスを進めることにいたしました。これは、2社で同様のことをやってもしょうがないということもあり、2社で連携して、グローバルな音声認識の会社に対抗するための手段でございます。その作業は、現在も一緒にやらせていただいております。

2018年3月期は、残念ながら赤字決算でした。この後、またご説明させていただきます。これが、業績の推移でございます。

2018年3月期 業績の概況(連結)

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これ以降は、2018年3月期のご報告をいたします。売上高は33億1,800万円、営業利益はマイナス2億7,600万円、経常利益はマイナス2億8,300万円、当期純利益はマイナス1億3,600万円でございます。この内訳を、ご説明したいと思います。

2018年2月発表 連結業績予想修正

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期初の業績予想に関しましては、売上高が55億円、営業利益が1億円、経常利益が1億円、当期純利益が6,000万円という計画を立てておりました。さらに(期中に)状況が変わりまして、(2018年)2月9日に、修正予想を発表させていただいております。売上高が33億円、営業利益がマイナス2億7,000万円、経常利益がマイナス2億8,000万円、当期純利益がマイナス1億3,000万円でございます。

この通期営業利益の予想がもともと1億円だったものに対して、その修正について(スライドの下部に記載しておりますが、まずは)①という欄でございますけれども。ここは、メディア総合研究所を売却した結果、連結対象から外れましたので、売上から落ちております。

併せまして、②ですけれども、メディアジャパンエージェンシーという会社(の広告収入減少による影響です)。大きなお客さまの広告枠を取るビジネスをしている会社でございますが、その主要顧客さまが一時的に営業停止処分を受けました。その結果、その間に広告が打てず、広告収入の減少となっております。

それ以外に、会社のその他諸々で、9,500万円の赤字が出ております。これらをトータルしますと、マイナス2億7,000万円の赤字となっております。ただし、メディア総研およびみらい翻訳の株式を売却しましたので、当期純利益に関しましては、マイナス1億3,000万円となっております。

機械翻訳事業の見直し

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それでは、先ほど申し上げた機械翻訳の事業の見直しについて、少しご説明させていただきたいと思います。2014年10月にメディア総合研究所を子会社化しまして、また、みらい翻訳に資本参加をいたしました。

事業の戦略としましては、メディア総合研究所の人手翻訳です。とくにメディア総合研究所は、特許や医療・薬の申請に強かったものですから、その医療系コーパスが使えるだろうと考えておりました。さらに、我々は音声認識で培ったノウハウを活かした、システムやライセンスのビジネスの仕方を含めた事業の立ち上げ。

それから、(お互いの)技術的にも似通ったものがありましたので、機械翻訳の性能を上げる。フュートレックはあくまでも、技術を提供するという会社で参画しておりました。その後、法人向けにライセンス販売を始めております。

先ほど言いましたが、Google社がニューラルネットワークを使った、新しい機械翻訳を出されました。それまでは、フレーズ方法と言いまして、「I have a pen.」と言ったら、「私」「持っている」「ペン」と各々に分解して、それから順番を入れ替える。ある程度、技術的にいろいろと考えなきゃいけないような、フレーズベースでした。

ここにきましたのが、ディープニューラルネットワークです。とにかく、データを食わせてやれば性能が上がってしまうという状況になりました。そうしますと、もはや技術は追いつかず、いかに対訳コーパスを持っているか、いかに大きなサーバをぶん回して、いかにデータを食わせるかという勝負になりました。

また、Googleはそのときに、機械翻訳そのものを無償で提供しました。そのGoogleの状況を受けまして、(もともと)IBMはWatsonというプラットフォームを提供していたんですけど、機械翻訳の分野に関しましては、無償で公開をいたしました。

そうしますと、ライセンスで生きる我々としては、無償のものに対して有償ライセンス(で事業を続けること)は非常に難しいということ。また、我々は技術貢献をしたいんですけれども、もはやディープニューラルネットワークになったらその対応ができないことを考えて、ここで撤退する判断をいたしました。

一方で、音声認識です。今まではスマートフォンだけだったんですけれども、今はスマートスピーカーに代表されるように、家(関連)のビジネス、それからIoT、今後は自動運転における音声認識など、いろいろな技術が入ってまいりました。

そうしますと、音声認識以外にも、いろいろな技術が必要になってまいります。1つは、スマートフォンと言うと、リテラシーの高い方が口の側で話しますので、非常に音も明瞭で、きれいに聞こえている。それが(スマートスピーカーなどの)家の中で言いますと、離れたところとか、エアコンが吹き出していたり、テレビが鳴っていたり(するところ)。車だって、エアコンが吹いていたり、ロードノイズが鳴っていたり(するところ)。

さらに、大人の方や子どもさんなど、いろいろな方が話すという点もありますので、いかにノイズ除去をするか。あと、いろいろなお子さんの声のデータを集めなきゃいけないことなどがありました。一方で我々は、ノイズ除去に関してはいい技術を持っていましたので、AIの入り口として、やはりそこを抑えようということで、音声認識に投資をすることを決断いたしました。

以上が、機械翻訳の事業の見直しでございます。ただし、小型の機械翻訳に関しましては、すでに進めております。また別途ご説明いたしますが、ログバー社の「ili」とか、いろんな翻訳機に、我々の技術が提供されております。

事業の選択と集中、グループ会社の再編

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次に、「今期はどうしていくか」と話しまして、やはり事業の選択と集中、それからグループ会社の再編を考えました。2017年4月時点では、ATR-Trek、スーパーワン、メディア総合研究所の3社がグループ(連結子会社)でございます。2018年3月現在の連結子会社としましては、ATR-Trek、スーパーワン、それから先ほど申し上げたメディアジャパン、メディアジャパンエージェンシーという構成になっております。これが、グループの再編の状況でございます。

2019年3月期 業績予想(連結)

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それから、フュートレックの今後の戦略を、少しご説明させていただきたいと思います。

2019年3月期なんですけれども、売上高で34億円、営業利益で5,000万円、経常利益で4,000万円、当期純利益で2,000万円を計画しております。ただし、第2四半期に関しましては、売上高で15億円、営業利益でマイナス1億1,000万円、経常利益でマイナス1億1,500万円、当期純利益でマイナス1億2,500万円(の計画)でございます。

第2四半期において、営業利益で赤字を見込んでいるのは、当社グループの事業の一部で、期末の売上集中型(という傾向)があるためでございます。また、大きな開発をやっておりますと、やはり納期が下期にずれ込みますので、下期集中型になっております。

2018年3月期 セグメント別利益

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次に、2018年3月期のセグメント別利益でございます。

ライセンスは(売上高が)11億2,400万円、セグメント利益が1,800万円。翻訳は(売上高が)4億7,900万円、セグメント利益がマイナス7,900万円。映像・メディアは(売上高が)11億4,700万円、セグメント利益がマイナス5,000万円。その他は売上高が5億6,700万円、セグメント利益がマイナス1億5,800万円でございます。

この中のライセンス事業は、やはり我々の糧でありますし、投資以上の利益を生みますので、さらなる利益を目指すべく、注力してまいります。それ以外のセグメントに関しまして、赤字の事業は黒字化を達成する。もし達成できないものに関しては、今から事業の見直しをかけて、整理していくことを行っております。

事業体制の見直し

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これが、事業体制の見直しでございます。この中で注力するもの(○)と見直すもの(△)を判断し、事業として進めております。

まず、注力するもの。先ほど(申し上げたように)音声認識事業には(これまでも)注力しましたが、ヒト・モノ・カネを一番集めて(これからも)注力してまいります。

それから、CRM事業……カスタマーリレーションシップマネジメント、顧客対応のソフトウェアです。これもやはり、1回入りますと、サポート等(で引き合い)がありますので、この事業にも注力してまいります。幸い、今後は東京オリンピックを含めて、小売業者の方でもカスタマーリレーションサービスの引き合いが強くなっていますので、ここを含めて(注力して)まいります。

次に、映像・メディア事業分野は、テレビ局や、それ以外の会社さまのプロモーションの映像などに注力してまいります。最近は、通信業界でも高速化されたこともありまして、またVR・ARを含めて、非常に映像関係の需要がどんどん出てくるんじゃないかというところもありますので、映像・メディア事業に注力してまいります。

次に、基盤事業分野(E検定)は、見直しをかけさせていただきます。

また、書き起こし事業は、以前は「議事録などの需要があるんじゃないか?」と考えたんですけれども、これに関しても、見直しをかけさせていただきます。

国際事業分野は、(映像)展示などに関しましては、引き続き注力してまいります。

見直す事業

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それでは、これら(の「見直す事業」)について、簡単に説明させていただきます。

(まず)E検定(電気・電子系技術検定試験)です。もともとは2011年に、「アナログ技術者の検定がない」ということで、社会貢献もあったので進めたんですけれども、我々の会社の規模からしたら需要が伸びないということもありまして、2018年6月1日付で株式会社サートプロに業務を移管して、フュートレックは検定から手を引きました。

併せまして、書き起こし事業分野は、米国のTranscribeMe社という会社と連携して、クラウドワーカーを使った書き起こしをやっていました。しかし、やはり日本文化では、議事録などは企業秘密でもありますので、あまり発注されないということもあります。

ただし、音声認識に関しましては、この書き起こしが非常に重要です。そのため、音声認識の認識精度向上のために残しまして、それ以外に関しては縮小いたしました。

それ以外には、国際事業分野の中で、いろんな翻訳アプリケーションなどの細かな商材がありました。それらに関してもすべて見直しをかけて、経費を使わないように、凍結するものは凍結(させる)というかたちで、作業を整理しております。

また、経費削減も含めまして、今期の売上に繋げていきたいと思っております。あくまでも「事業の利益」と「社内の負荷」のバランスを考えて、最大限の投資をしたいと考えております。

注力する事業 ~音声認識事業分野~

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次に、注力する事業でございます。

(まず)音声認識事業分野の、「ライセンスファースト」。やはりソフトウェアというものは、受託でいいますと、エンジニアプラスそのワークしかもらえないんですけれども、一度基盤のところに技術が入りますと、それ以降は何年間か、ライセンスフィーが入ります。

(例えば)携帯電話の事業しかり、最初は投資で端末(事業)に入って、それ以降は非常に売上が上がりました。これは、働き方改革を含めて、多くのワークをしなくてもお金が入るという、非常に重要なビジネスでございます。

フュートレックとしては、あらためて、ライセンス事業が重要であると再認識しました。そのために、ライセンスの販売と強化……フュートレックグループとして拡大するために、音声認識のライセンス販売の強化が重要と考えております。現在、コミュニケーションロボット、コネクテッドカー、IoT事業を含めて、いろんなところに話をさせていただいております。

技術に関しましては、付加価値が高く独自性の高い商品を開発していこうと(考えております)。営業に関しては、販売戦略の立案と実行。のちほどご説明しますが、パートナー戦略を含めて、この二輪の中で利益を生んでいこうと考えております。

付加価値の高い技術を!~技術ラインナップ~

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一方で、付加価値の高い技術(のご説明)です。

ローカル型の大語彙連続音声認識。(サーバ型との)最大の違いが、インターネット通信をしないこと。ネットワークと繋がらなくて済む、レスポンスが速いというかたちがございます。ただ、CPU・メモリーが非常に小さいものですから、単純にサーバの音声翻訳をもってくればいいというわけではございません。

ネットワークがないことにより、世界中のどこでも同じ環境で使えます。有事の際にネットワークが落ちてしまった場合でも、使えるというかたちでございます。それ以外に、騒音下での音声認識(向上技術)、あとはお客さまが(ご自身で)単語登録をできるようなツールを、提供してございます。

オフライン翻訳機「ili(イリー)」

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その成果の1つが、この「ili(イリー)」でございます。

(「ili」を示して)これが、実物なんですけれども。日本語から韓国語、日本語から英語、日本語から中国語の3ヶ国語(の翻訳)ができます。さらに、中国語から日本語とか、英語から日本語などの逆(翻訳)も、最近ログバーさまのほうで(対応できるようになりました)。前は海外(での使用が)専用だったんですけれども、販売を始めております。

(使い方を)簡単に説明してみます。ボタンは2つだけです。今、電源が入っています。真ん中を押してしゃべると、それで翻訳されます。

こんにちは。

ili:Hello.

浦川:今日は天気がいいですね。

ili:The weather is nice today, isn’t it?

浦川:でも、もうすぐ梅雨が始まりますね。

ili:But it’s the rainy season starts soon.

浦川:おすすめの料理をください。

ili:Can you recommend the restaurant, please?

浦川:もう少し、まけてもらえませんか。

ili:Could you come down this little more?

浦川:ということで、これがiliでございます。(今の音声は)英語なので、みなさんもわかるとは思うんですけれども。翻訳が中国語や韓国語だと、私はぜんぜんわかりません。そうした時に、本当に翻訳ができているかという(確認をしたい)時には(「ili」を操作します)。

ili:もう少し、まけてもらえませんか。

浦川:こうやって、日本語で語彙認識されたとわかり、この音声認識が繋がっているということもわかります。これは19,800円ですので、ぜひみなさんも買っていただけましたら、今期の我々の売上に少し乗っかるのかなと思っております。

今期は、この「ili」の販売にかなり期待しております。そのロイヤリティ収入が事業の後押しをしてくれることも、期待しております。

「ili」に関しまして、我々は、音声認識と音声翻訳(の技術)を提供しております。これは、携帯電話などのいろんな小型の機器にも載りますので、こういう翻訳機だけではなく、いろんな制御装置などにも使えるものだと思っております。

販売戦略の立案と実行

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次に、販売戦略の立案と実行でございます。

フュートレックというのは、NTTドコモさんの依存度がかなり高いとご説明してまいりました。今回、携帯電話の事業は横ばい、もしくはこれ以上の新しい機能が望まれなくなってくる中で、いかに新しいビジネスをやるかというところでもあります。いろんなパートナーさんと連携して、事業を進めることを考えております。

これは営業だけではなく、技術に関してもお互いで補完して、1(当社)+1(パートナー)が(連携によって、いずれ)3までにならなくても(少なくとも)2.5ぐらいになって、ビジネスを広げることを考えております。

「フュートレック+外部パートナーさん」の、技術・販路を含めてビジネスを生み出し、その一部をライセンス収入としていただくというかたちで、回していきたいと思っています。

あとは、我々はソフトウェア会社ですので、Instagramでもなんでも新しいやつ(アイデア)が出ますと、すぐにキャッチアップされます。ハードウェアでしたら、なかなか時間がかかるため、キャッチアップは難しいのですけれども。ソフトウェアはアイデアがあれば、すぐにキャッチアップされます。

そのために、我々はいかにライセンスを獲得するかを含めまして、やはり特許(権利化)推進によって、なるべくライセンスの期間を増やすことを考えております。特許に関しましては、私自らが技術者の方とブレストしながら、進めている最中でございます。

外部パートナー企業さまとの(連携の)1つの例としましては、この前(2018年4月に)発表しましたが、韓国SK holdings C&C社とのパートナーシップ契約を進めまして、現在いろんなお話をさせていただいております。

ほかにもインバウンド系でいきますと、琉球銀行さまとのマッチング。それから、これは昨年(2017年)発表させていただきましたけれども、先ほど、我々はNTTドコモさまの技術を使っていると言いました。

NTTドコモさまの技術を販売する、NTTテクノクロス社という会社があります。そこには、音声認識やマイニングなど、いろんな技術がありますので、そういう会社と連携してビジネスを広げたいと考えております。

注力する事業 ~CRM事業分野/映像・メディア事業~

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音声認識以外の注力事業としましては、やはりCRM事業分野です。

これは2018年3月期に、売上高が前年比21パーセント(増)に達しております。いろんなビジネスをしてきましたが、CRMに関しては引き合いも多く、今後も成長分野だと思っております。

この「Visionary」と言うのが(統合型CRMソリューションの)商品名です。「Visionary」の売上には、最初の委嘱販売以外にも月額利用料、それから新しい製品などが加わることに対するカスタマイズがありますので、1回のお客さまとの連携でいきますと、数年間はもつ事業でございます。今は新規事業を含めて、いろんな調査をしていただいております。併せまして、CRMにいろんな機能を設けて、競争力もつけようとしております。

それから、映像・メディア事業。1つ、この中で大きなものは、先ほど(申し上げた)メディア・エージェンシーの主要顧客さまの販売停止がありましたが、最近は事業も復活しまして、かなり広告収入も上がってきております。こういうこともありまして、去年は大きな痛手があったんですけども、当期に関する影響は軽微とみております。

今までは、従来のテレビ番組の制作を行っておりました。例えば、「ワールドビジネスサテライト」「カンブリア宮殿」。あとは、終わってしまったんですけども、「ミライダネ!」という経済系・技術系の番組等をやっておりました。

一部では、昨年は(制作を)やめていたんですけれども、「Eテレ」です。「Eテレ」の制作にも、一部のメンバーが関わっていました。ただやはり、テレビ局も薄利多売になってきまして、テレビだけではビジネスが厳しいので、法人のお客さま(向け)にプロモーションビデオとか、いろんなものをテレビクオリティで提供しようとしております。

そして、国際事業分野(との連携強化)です。お客さまの展示場や(映像)展示システムを作っているんですけれども、そこの映像としても、今まで外注していたものをグループ内で回せるようになったかたちで、コスト改善が図れるような状況になってきております。

注力する事業 ~国際事業分野~

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次は、国際事業分野です。

映像展示システム・インバウンド支援商材の販売をしている部門でございます。これは、先ほどの沿革の(ご説明の)中でもありました、アドホック社の買収した部門でございます。もともと、我々は名古屋に拠点がなかったものですから、アドホック社を買収することによって、拠点ができるという状況もございます。

それを、今年(2018年)は首都圏、それから2025年大阪万博を含めて、いろんな展示を広げられるだろうと、関西圏へ販路を拡大しようとしている最中でございます。

あとは、多言語ガイドシステムの「U・feel」を販売しております。ちょっと(スライドの文字が)小さくて見えないかもしれないんですけども、いろんな観光バス(で使われます)。今まで(の乗客)は日本の方が多かったんですけれども、インバウンドになりますと、いろんな国の方がバスに乗ります。その際バスガイドさんは、日本語……多くても英語ぐらいまでしか(ガイドが)できないと思うんです。

そのガイドを(多言語で行うために)同時通訳のイヤフォンでチャンネルを合わせるようなイメージを持っていただければと思うんですけども、バスのコースに合わせて、最大17ヶ国のデータを持っております。GPSの位置情報に合わせて、お客さまの耳元で(多言語で)ガイドをするシステムです。

この中で1つ特徴的なのは(例えば)コースによって渋滞している、または空いていて速く走れる。それによって、同じGPSの地点を取りましても(ガイドが)途中で終わってしまうとか、まだ終わらなかったとか、いろんなケースがございます。

このシステムは、(音声の)長さを3つに分けたガイドを持っております。そのときのGPSのスピードをポイントに合わせて、最適な長さのガイドを流すことをやっております。

なお、GPSの移動速度で(音声の)長さを変えることに関しまして、フュートレックは特許を取っております。そこの分野に関しては、独占的なビジネス・販売ができるものでございます。

以上が、だいたい個々のビジネスの流れでございます。

今後の目指す先

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フュートレックの今後の目指す先は、2020年です。東京オリンピックというのは、重要な鍵だと思っております。そのときまでに、お客さまが持つAIスピーカー・IoTなど、いろんな技術が発展していくと思います。

また、2020年は車(の自動運転)……レベル3(条件付き自動運転)ですか。私もSUBARUのレヴォーグに乗っているんですけども、かなりアイサイトもうまくなってきました。これがさらに進みますと、もう車の中ではどこに行ってるとか(がわかるようになる)。あとは、(車中で)暇な時に話をしていようと、音声認識であれば、どこでも行けるような状況になってくると思います。

やはりコックピットや車の中のナビとか、UIも上がってくると思いますので、そのあたりといかに音声認識を合わせるかというかたちで、パートナーの会社さんと話をさせていただいております。2020年以降を含めて、本格的な未来社会……AI・ロボット・自動運転に音声認識が使われるかたちを考えて、進めてまいりたいと思います。

家庭の中での音声認識というのは、(例えるなら)『2001年宇宙の旅』ですか。あくまでもそばにいるんですけど、気にならない。いろんな話をしている中で、人工知能のほうが「あ、これは私に命令されたんだな」(と認識する)とか。(人間が)「今日は暑いね」って言ったら(人工知能が)「エアコンかけますか?」(と話すとか)。「夫婦の会話だったら割り込まない」とかは、いちばん良い状況だとは思うんですけども。

そうしますと、家庭の会話が全部、サーバに聞かれることになると思います。そういうのは非常にバリアも高いと思いますので、我々としてはローカル型(の大語彙連続音声認識)……ネットワークを使わない音声認識の中で、いかに認識(の性能)を上げるかということに、注力してまいります。

多分基本的に、GoogleさまやAmazonさまは、音声認識を提供することが彼らの目的ではなくて……その音声認識を使っていただいて物販をリコメンドするとか、自分たちの商材につなげるのがメインだと思います。

そうしますと、やはり彼らはネットワーク型が多いだろうということに対して、フュートレックはローカル型も併せた両方の音声認識で、ビジネスを進めたいと思っております。

フュートレックの経営理念

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最後に、フュートレックの経営理念です。

「社会の変化に柔軟に対応して、 その時代に求められる商品を追求し、 継続的に発展する会社を目指す」。

言い換えると、「この先はどういう状況がわからないので、自分たちのある面(に対して)、頑固にその道を進む」(ということで)もあるんですけども。世の中の流れにしたがって最適化を目指して進めていくかたちで、今後とも会社を経営してまいりたいと思っております。

本日は長い間、どうもありがとうございました。

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