4. 70歳まで加入していた場合の保険料と受給額

もし厚生年金に70歳まで加入した場合、負担する保険料と将来受け取れる年金受給額は、どれくらいになるのでしょうか。

厚生年金の保険料は、事業主と被保険者で折半して支払います。自身が負担する保険料の計算式は、以下のとおりです。

  • 厚生年金保険料(自己負担分)=標準報酬月額(または標準賞与額)×9.15%

毎月の給与を32の等級に分けた「標準報酬月額」や賞与額から千円未満を切り捨てた「標準賞与額」をもとに、自己負担分の保険料率である9.15%を掛けて計算します。

いくつかの標準報酬月額における厚生年金保険料を計算すると、以下のようになります。

標準報酬月額における厚生年金保険料

標準報酬月額における厚生年金保険料

出所:日本年金機構「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和6年度版)」をもとに筆者作成

標準報酬月額が上がるにつれて、納める厚生年金保険料も増える仕組みです。

一方、将来受け取れる厚生年金受給額は、以下の式で計算します。

  • 厚生年金受給額=報酬比例部分+経過的加算額+加給年金額

※報酬比例部分:受給額の目安となる金額
※経過的加算額:特別支給の老齢厚生年金と老齢基礎年金の差額
※加給年金額:厚生年金保険の被保険者期間が20年あり生計をともにする配偶者や子がいる人が65歳時点になると支給される金額

おおよその受給目安額である報酬比例部分は、以下のとおり計算します。

2003年3月以前の加入期間

  • 平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間月数

※平均標準報酬月額:2003年3月以前の加入期間について、計算の基礎となる各月の標準報酬月額の総額を、2003年3月以前の加入期間で割って得た額

5. 2003年4月以降の加入期間

  • 平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間月数

※平均標準報酬額:2003年4月以降の加入期間について、計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、2003年4月以降の加入期間で割って得た額

たとえば、2003年4月以降に22歳で就職し、以後70歳まで厚生年金に加入し続けたとしましょう。加入期間月数は576月ですから、報酬別の受給額は以下のようになります。

厚生年金の報酬別受給額

厚生年金の報酬別受給額

出所:日本年金機構「は行 報酬比例部分」をもとに筆者作成

  • 20万円:5万2618円
  • 25万円:6万5772円
  • 30万円:7万8926円
  • 35万円:9万2081円
  • 40万円:10万5235円
  • 45万円:11万8390円
  • 50万円:13万1544円

上記の金額は国民年金の受給額に上乗せされて支給されます。令和6年度の国民年金受給額は月額6万8000円ですから、平均標準報酬額が35万円付近になれば厚生年金受給額の平均を上回ります。

70歳まで厚生年金に加入することは、年金受給額を増やすための方策として効果的といえるでしょう。