金融庁の「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書(令和元年6月3日)」では、以下のような試算がなされています。
これが「2000万円」という金額の根拠となります。一見、2000万円あれば老後もじゅうぶん暮らしていけるようにも思えますね。しかし、実はこの試算にはいくつか落とし穴があるのです。
2.1 ① 住宅費
上記のモデルケースでは持家世帯を前提として、ひと月の住宅費が約1万4000円で計上されています。
老後も賃貸住宅に住まう予定であれば、家賃分も考慮して「2000万円」に上乗せして準備していく必要があるでしょう。
2.2 ② 介護費
また、上記の計算式には、介護費は全く含まれていないことにも注意が必要です。
必ずしもすべての人が要介護になるわけではありませんが、介護費は老後の大きな出費の1つです。老後を安心して過ごすために、準備しておくに越したことはないでしょう。
例えば、「LIFULL介護」のデータを参考にすると、平均入居期間の5年で計算するとサービス付高齢者向け住宅で約1000万円、有料老人ホームで約1900万円の費用がかかる計算になります。
各自、必要に応じて「上乗せ費用」を準備するとなると、世帯によってはトータルの金額が4000万円、5000万円という金額に膨れ上がることも考えられますね。
あくまでもモデルケースに基づく試算とはいえ、「貯蓄2000万円」があれば老後は安泰である、とは言い切れないことは確かであるといえそうです。