5. 将来の年金生活への備え
ここからは、現役世代が将来の年金生活に備えて老後資金づくりを始める際に大事なことについて解説していきます。ぜひ参考にしていただけると幸いです。
5.1 老後に必要な目標金額を明確にする
しっかりと老後資金を準備するためには、最初に目標金額を明確にすることが重要です。
また、目標金額を明確にするために、まずはねんきん定期便やねんきんネットで自身が将来受け取れる年金見込額を確認しておきましょう。
そして、次に老後毎月かかる生活費を具体的に計算します。夫婦2人もしくは1人で生活するにあたり、食費や家賃などを含めて毎月必要な生活費はいくらかを試算しましょう。
将来の年金見込額と老後毎月かかる生活費の概算が計算できたら、それらの情報をもとに、定年(65歳と仮定)後25年~30年に年金だけでは不足する老後に必要なお金がいくらかを、以下の計算式をもとに試算します。
- (年金見込額-老後の生活費)×12か月×25~30年
また、介護費用などもあわせて準備したい場合は、上記で試算した金額に上乗せして、これから準備すべき老後資金の目標額としましょう。
そして目標金額が決まったら、「65歳までに老後資金を貯めたい!」など何歳までにその金額を準備したいかのゴールを決めます。
今現在の年齢から目標達成に設定した年齢までの年数で目標金額を貯めるために、毎月いくら貯金すればいいかしっかり確認しておきましょう。
たとえば、現在30歳の方が65歳までに3000万円貯めたい場合は、毎月7万1428円の貯金を35年間続ける必要があります。
毎月約7万円の貯金を35年間継続できそうであれば、貯金で老後資金の準備を。難しそうな場合は、NISAやiDeCo、個人年金など資産運用を活用しながら老後資金を準備する案も検討する必要が出てくるでしょう。
このように、最初に目標金額を明確にすると、老後資金を準備するために自分が取るべき手段が明確になってきます。
老後資金の準備は何から手をつければいいか分からないという方は、まずは目標金額の設定から始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 厚生労働省・日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」
- 日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
鶴田 綾