4. 公的年金の不足を補う方法
公的年金だけで老後の生活費をまかなえない可能性が高いため、早めに対策を立てておく必要があります。
公的年金の不足を補う方法を3つ紹介します。
4.1 老後も引き続き働く
高年齢者雇用安定法により、事業主は65歳までの雇用確保が義務付けられています。
厚生年金は70歳以上でも、要件を満たすことで任意に厚生年金保険に加入できるため、60歳以降も働くことで、厚生年金額を増額させることが可能です。
また老齢厚生年金を受け取りながら働くことで、老齢厚生年金額が見直されることもあります。この仕組みのことを「在職定時改定」と言います。
4.2 NISAの活用
NISAとは、運用益に税金がかからない制度のことです。
2024年に始まった新NISAでは非課税保有期間が無期限となり、老後の資産をとり崩しながらも非課税で運用できるメリットがさらに大きくなりました。
同制度はいつでも、非課税で引き出しができます。また非課税保有限度枠(総枠)の範囲内であれば何度でも投資枠が再利用可能です。
お金に余裕がある月は再度投資に回すなどすれば柔軟な運用ができるでしょう。
4.3 iDeCoの活用
iDeCoは個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資産形成をするための制度です。
掛金を拠出して、あらかじめ用意された商品のなかから選んで自身で運用をします。
掛金は60歳まで引き出しができませんが、掛金が所得控除になるため、所得税や住民税が軽減される可能性がある、運用による資産増加が狙える、運用益に税金がかからないといったメリットがあります。
5. まとめ
老後、公的年金だけで生活をまかなえる世帯は41.7%であるとわかりました。
今後、さらに多くの世帯が公的年金だけでは生活できなくなる可能性もあるでしょう。
早めに自身の年金額を「ねんきん定期便」などで確認して、不安があれば老後に向けた資産形成をスタートしましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」
金子 賢司