2. 公的年金だけで生活できる高齢者世帯は41.7%

厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、公的年金だけで生活費をカバーできている高齢者世帯は、41.7%となっています。

公的年金の総所得に対する割合別高齢者世帯数

公的年金の総所得に対する割合別高齢者世帯数

出所:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」

2.1 公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

  • 公的年金・恩給の割合が100%の世帯:41.7%
  • 公的年金・恩給の割合が80~100%の世帯:17.9%
  • 公的年金・恩給の割合が60~80%の世帯:13.9%
  • 公的年金・恩給の割合が40~60%の世帯:13.2%
  • 公的年金・恩給の割合が20~40%の世帯:9.3%
  • 公的年金・恩給の割合が20%未満の世帯:4.0%

2022年度(令和4年度)の調査では44%という結果でしたが、2023度(令和5年度)調査では2.3%減少しています。

2023年度(令和5年度)の公的年金は、昨年度よりも原則2.2%の引上げとなっていたにもかかわらず、年金だけで生活できている世帯の割合は減少しているのが現状です。

同調査では「生活意識」についても調査を行っており、高齢者世帯の約6割が「苦しい」と回答しています。

各種世帯の「生活意識」回答結果

各種世帯の「生活意識」回答結果

出所:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」

2.2 高齢者世帯「生活意識」の回答結果

  • 大変苦しい:26.4%(前回18.1%)
  • やや苦しい:32.6%(前回30.2%)
  • 普通:36.7%(前回45.1%)
  • ややゆとりがある:3.9%(前回5.8%)
  • 大変ゆとりがある:0.4%(前回0.8%)

「大変苦しい」と回答した高齢者世帯は、26.4%と約4世帯に1世帯の割合となっており、令和4年度よりも8.3%増加しています。

年金受給額がそもそも少ないケースもありますが、近年の食料品や生活用品、エネルギー代などの値上げが、高齢者世帯の生活費を圧迫していると考えられるでしょう。

3. まとめにかえて

老齢基礎年金の平均受給額は約5万6000円、老齢厚生年金は約14万4000円ですが、公的年金だけで生活費をカバーできている高齢者世帯は41.7%にとどまっています。

生活が苦しいという世帯は約6割を占めており、老後生活の厳しさがうかがえます。

現役世代の方にとって、ご自身が年金を受給するときにいくらの年金を受給でき、公的年金だけで生活費をカバーできるのかは不透明です。

公的年金だけに頼らないように、老後資金の準備をする必要があるでしょう。

先取り貯蓄やNISA、iDeCoなどから取り組みやすい方法を選び、無理のない範囲で早めに老後資金の準備をはじめましょう。

参考資料

木内 菜穂子