3. 年金の手取り額はいくら?繰下げの効果を検証
実際に年金の手取り額を試算し、支給額と比較してみましょう。
3.1 年金の手取り額を試算
東京都大田区に住む68歳の単身者を例に、年金の手取り額を試算します。前提条件は、以下のとおりです。
- 収入は公的年金のみ
- 適用する所得控除は基礎控除と社会保険料控除、公的年金等控除
- 令和6年度基準で計算
- 定額減税等は考慮しない
- 年金収入(年額):150万円(月額12万5000円)
公的年金等に係る雑所得
150万円 -110万円(公的年金等控除)=40万円
国民健康保険料
算定の基礎になる所得金額が0円(40万円-43万円)となり、年間保険料は6万5600円となります。
介護保険料
所得金額0円のため住民税非課税となり、所得段階別保険料額の第3段階に該当します。
第3段階の保険料は、年額5万1480円です。
所得税(および復興特別所得税)
公的年金等に係る雑所得(40万円)が所得税の基礎控除額48万円を下回るため、所得税は0円となります。
住民税
公的年金等に係る雑所得(40万円)が住民税の基礎控除額43万円を下回るため、住民税は0円となります。
以上により、このケースでの年金の手取り額(年額)は、以下のとおりです。
150万円-0円(所得税・住民税)-11万7080円(社会保険料)=138万2920円(月額11万5243円)
月額にすると、手取り(12万5000円)は支給額(11万5243円)より1万円近く少ない結果となりました。
次の章では、今回のシミュレーションからわかる繰下げ受給に期待できる増額の効果についてみていきましょう。