2018年6月15日に行われた、株式会社エノモト2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:株式会社エノモト 代表取締役社長 武内延公 氏
会社概要
武内延公氏:本日はご多用のところ、また、雨でお足元の悪い中、当社決算説明会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。私が、代表取締役の武内でございます。よろしくお願いいたします。
まずは会社概要につきまして、簡単にご説明を申し上げます。
当社は、1967年に神奈川県の相模湖町で設立いたしまして、6年後(1973年)に、現在の山梨県上野原市に本社を移しました。本年(2018年)で、52年目を迎えるところでございます。
精密電子部品製造の販売を生業としておりまして、半導体用リードフレーム及びコネクタ用部品の金型製造・販売、プレス加工・メッキ加工・樹脂インサート成形加工を手掛けております。
国内拠点
国内製造拠点は4ヶ所ございまして、山梨県に2ヶ所がございます。1つは先ほど申しました上野原の本社で、ここに60名ほど有しております。
また、旧塩山市……現在の甲州市ですが、31年前に設立いたしました本社工場(塩山)に、240名ほど有しております。
北の青森県の五所川原市には、27年前に設立いたしました津軽工場で、120名ほど(有して)おります。
また、岩手県の大槌町で23年前に設立いたしました岩手工場で、80名ほど有しております。
最終的には、4拠点で総勢500名の体制でございます。
海外拠点
海外におきましては、23年前にフィリピンで設立いたしました、ENOMOTO PHILPPINE MANUFACTURINGに1,000名ほど(有しております)。また、18年前に香港で設立いたしました、販売拠点のENOMOTO HONG KONG。そして、その製造子会社であります、中国広東省中山市で設立いたしましたZHONGSHAN ENOMOTOに、220名ほどの社員を有しておりまして、海外での拠点は2つでございます。
以上が、当社の概要でございます。
当期の概況(1)
次に、2018年3月期の業績につきまして、ご説明を申し上げます。
車載向け部品やIoT関連需要の増加の追い風を受けまして、売上高はおおむね順調に推移いたしました。社内の品質及び生産における改善活動や、製造工程の自動化・効率化等による(製造)コスト低減の効果が出て、利益率も順調に向上いたしました。
それらの効果が複合的に活きまして、おかげさまで、増収増益を確保したわけでございます。
当期の概況(2)
経常利益の増減要因でございます。(売上総利益の項目に記載がある)「好調な売上による付加価値の増加」ということですが、その反面、それに伴う運賃・搬送費等経費の増加、為替変動要因のマイナス等が発生したものの、前期と比べ、2億8,700万円あまりの増加となった次第でございます。
連結業績の推移
連結業績の推移をご覧いただきますと、直近の3年間は売上高及び利益率とも、順調に推移いたしました。
とくに、2018年3月期におきましては、売上高は14.1パーセント(増)、営業利益は35パーセント(増)、経常利益は21.9パーセント(増)、当期純利益は33パーセント(増)と、それぞれ大幅に増加しております。
財政状態
財政状態に目を移しますと、自己資本比率はこの3期で60パーセント以上の水準を保持しております。ROEにつきましても、(2018年3月期末においては)通常の目安とされる8パーセントを超え、9.2パーセントにまで至っております。
製品群別業績の概況
次に、製品群別に(業績の概況の)説明を申し上げます。
まず、IC・トランジスタ用リードフレームですが、国内・海外ともに、車載向けの需要が好調に推移いたしました。
オプト用リードフレームにつきましては、昨今高品質の要求の強い、メイドインジャパンの必要とする競技場及び、アドバタイズメントに使われる大型ディスプレイ関連の受注が、増加傾向にございます。背景には、2020年の東京オリンピック関連の需要があると考えております。
コネクタ用部品につきましては、海外での車載向けの大型コネクタ部品の増加及び、スマートフォン向け超精密コネクタ部品等の需要が、非常に好調でございました。
製品群別業績(売上高)
次に、製品群別の売上高を見ていただきますと(おわかりのように)、コネクタ用部品が22.3パーセント、IC・トランジスタ用リードフレームが9.9パーセント、オプト用リードフレームでも2.6パーセントと、すべてのカテゴリーで増加となっており、全体的には前期比14.1パーセントの伸びとなりました。
1株当り指数
次に、1株当り指数の推移でございます。こちらの数値は、一昨年(2016年)の株式併合と昨年(2017年)の株式分割を考慮しまして、現在(2018年3月期)と比較できるような数値に直しております。
1株当り純資産は(前期比)5.2パーセント、同じく当期純利益は30.0パーセントとなっております。
利益配当
配当につきましては、資料にございますとおり、前期の普通配当の30円を継続する見込みでございます。なお、前期におきましては、東証2部への市場変更ということで、記念配当の5円を含んだ数字となっております。
製品群別の動向①
次に、各製品群の動向について、ご説明を申し上げます。
IC・トランジスタ用リードフレームです。先ほども申し上げましたとおり、堅調な成長が見込まれております。IoT関連需要の成長及び自動車のEV化、自動運転化等により、電装化率の上昇が要因でございます。
富士キメラ総研におきましても、2016年以降の7年間(~2022年)におきまして、年平均2.7パーセントの堅調な市場成長が見込まれております。
当業界における当社の立ち位置でございますが、世界市場におけるシェアは、約4.5~5パーセントぐらいと推定しております。これは、売上の金額ベース(で算出したもの)でございます。
当社における主要マーケットは、アナログIC及びディスクリート、パワー系半導体リードフレームでございまして、メモリ等に比べまして、大幅な需要変動が少ないカテゴリーの製品群をターゲットにしてございます。
従いまして、自動車関連及びIoT関連等の動向が、今後拡張・拡大するに従いまして、中長期的にも堅調にマーケットが推移すると考えてございます。
製品群別の動向②
次に、オプト用リードフレームでございます。これも先ほどお話ししましたが、やはり、かなり高品質なメイドインジャパンのリードフレームを要求されるということで、この需要は非常に底堅くございます。
また、使用目的も、競技場やアドバタイズメント用の大型ディスプレイ……スーパーハイビジョンですとか、そのようなかたちのもの等が多く、需要が成長しているということです。2020年のオリンピックに向けて、堅調に推移する中にございますけれども、それから先も(品質重視の製品需要の成長の)見通しがあるのではないかと考えています。当社の立ち位置といたしましては、世界市場におけるシェアは、約4パーセントと推定しています。
とくに、「砲弾型」と呼ばれます、タテ型のLED用リードフレームにつきましては、国内でトップシェアを有しています。このリードフレームを使う、品質の高い大型ディスプレイ等につきましては、必要性が非常に(高いと)言われて需要も大きいということで、今後も国内外を問わず、輸出についてもマーケットが広がっていくことで、堅調に推移するものと考えてございます。
製品群別の動向③
コネクタ用部品でございます。コネクタ用部品につきましては、車載用大型コネクタ部品の需要は、非常に順調に推移しています。加えて、今後のEV化・自動運転化に関する需要の進展も、見込まれることでございます。その反面、民生部品に位置付けられます、スマートフォンの需要に関しましては、昨年(2017年)の大幅な調整もしくは大幅な伸び(に対して)、今年(2018年3月期)の減少という、大きな変動を見せています。
当社としては、このあたりの動きに振り回されないように(するために)、新規開発品の受注が、今のところ確実にできています。不透明な要素もございますけれども、市場全体としては底堅く、(年率)2.8パーセントくらいの成長が、しばらく続くものと考えられています。
当社の見通しといたしましても、今後、やはり車載用(エアバッグ関連等)のコネクタ部品におきましては、大型・小型を問わず、自動車関連市場の拡大も見込め、現状の販路をよりいっそう拡大する計画でございます。
また、超精密コネクタ部品に関しましても、要求される技術的難易度が非常に高く、これをクリアし、かつ、また高品質な製品を大量に安定して生産できる能力を活かし、さらなるマーケットの拡大を図ってまいりたいと考えています。
使用先別分類
次に、2018年3月期における、当社の量産品目の売上高をグラフで分けて見ていただきます。用途別では、車載用が30パーセント。デジタル家電等を含みます、民生品向けの製品が27パーセント。スマートフォン・タブレット等を含みます、モバイル関連が29パーセントという、大きく3つの分かれ方をしてございます。
通期業績予想
以上を総合いたしまして、当期(2019年3月期)の見通しをご説明申し上げます。
現状では、スマートフォン部品のみ、若干不安定要素を予測しております。従いまして、いくばくかの減収は否めないものと推測していますが、全体として、他の品目は依然、堅調な推移を維持すると考えています。
それらを総合的に勘案いたしますと、売上高は2.7パーセントの減収ではございますが、今後の製造工程の改善により、利益率等が向上することを(想定)いたしまして、営業利益においては、1.5パーセントの増益を見込めるものと予測してございます。
新規事業への取組み①
次に、当社の手がけています開発案件と、ESG経営の取り組みをご紹介させていただきます。
まず、開発案件です。当社は2014年に山梨県及び山梨大学と、産・官・学の共同事業でございます、「水素社会に向けた『やまなし燃料電池バレー』の創成」事業への参画を、すでに果たしています。これは、「ガス拡散層一体型金属セパレータ」の開発という内容のもので、参画しています。
新規事業への取組み②
この「ガス拡散層一体型金属セパレータ」と申しますのは、水素と酸素の化学反応を利用して作る、燃料電池スタックの基幹部品でございます。現在の開発品は、汎用ステンレスと従来のカーボンペーパーに代わる、廉価なガス拡散層とガスケットの機能を合わせて保有させることで、コンパクトかつ経済的な燃料電池ができるというものです。山梨大学の保持する特許に基づきまして、量産化を目指す内容です。当社が、この理論上のものについて、具現化・実現化を担当しています。
すでにここ数年の間に、サンプル等の試作段階にも入っています。そのサンプルの実験等について、数社とすでにNDA契約を結びまして、開発が進んでいるところでございます。だいたいですが、ロードマップでいきますと、2025年ごろに事業化が目指せるかどうかというところにまで、きているところでございます。
環境への取組み
次に、環境への取組みです。当社は各拠点において、太陽光パネルを設置いたしまして、CO2の削減に積極的に取り組んでいます。この写真は一例ではございますが、当社のENOMOTO PHILPPINE MANUFACTURINGの、3棟の工場の屋根全体を撮影したものでございます。このようなスペースを利用しまして、太陽光パネルを貼る(というものです)。
また、国内においても、山梨県上野原市と甲州市の当社所有地を利用いたしまして、国内・海外のグループ合計で、約1.5メガワット規模の発電能力を有してございます。また、岩手工場におきましては、窒素酸化物を低減する塗料を屋根に塗布しまして、積極的に環境の浄化に取り組んでいるところでございます。
プラチナくるみん認定
次に、働き方改革への対応といたしまして、かねてから当社は、有給休暇取得や男性の育児休暇の取得率向上に取り組んでいます。本年(2018年)6月ですが、厚生労働省より、山梨県の企業では初めての「プラチナくるみん」に認定されました。この認定の取得は、全国で181社目ということで、当社の取組みが高く評価されたものと考えてございます。
最後になりますが、ガバナンス体制につきまして、ご説明します。当社は、経営判断の迅速化及び管理監督者と業務執行者の職務分担の明示を目的として、本年4月より、執行役員制の職務導入をいたしました。また、当月(2018年6月)28日に予定されています、株主総会における議決が前提ではございますが、社外取締役の割合を現行の30パーセントから43パーセントに引き上げ、より独立した立場での監督を強化いたします。
このように、いわゆるESG経営にも注力し、より深い地域社会貢献を志す企業として、経営にあたっている次第でございます。以上で、説明を終了させていただきます。ご清聴ありがとうございました。